7話 ページ26
櫻子「あなたは...見たことないわね、最近加わった子かしら?」
A『は、はい、最近ワンダーランズ×ショウタイムに加わった柊Aです....』
櫻子「あら、そうなの。柊さん、覚えておくわ」
私の方をみてニコッと微笑んだ櫻子さんに今度はえむちゃんがくいついた。
えむ「あたし達のショーを見てくれたの!?嬉しいな〜!どうだった?おもしろかった?」
櫻子「演出はよかったわ。一見突拍子もないけれど、戯曲の糸を丁寧に汲んでいて。それにショーらしい華やかさもある。でも─それだけね。」
櫻子さんはそう言いながらため息をつく。
櫻子「演技の粗は目立つし、勢いだけで完成度は低い。私達のショーとは比べるまでもないわ!」
司「なっ...!」
櫻子「それに...聞けば今度は、私達と同じようにクリスマスミュージカルをやるんですって?」
櫻子さんはそう言いながら寧々ちゃんに目を向けた。
櫻子「歌はそこにいる─草薙さん、だったかしら?その子もそれなりに歌えるようだけど....あなたには、私達の実力差はわかっているんじゃない?歌ひとつとっても、あなた達が勝つ確率はゼロね」
寧々「あ...(たしかに...この人の言う通りだ...この人の歌は、私やAの歌とは違う。なんていうから自分の心が、ちゃんと乗ってる気がした。私じゃきっと....敵わない...)」
寧々ちゃんは櫻子さんを前に顔を俯けた。
A『(寧々ちゃんに自信がないってことは私じゃ到底敵わない。櫻子さん...それだけ実力のある方なんだ)』
櫻子「ま、恥をかかないようにせいぜい自分達のショーを磨くことね。それじゃあ─」
司「な...な....何様だ、キサマはー!!」
急に司くんは大声をあげた。類くんに向かって大声で話した時と同様、私は肩をびくっと震わせる。
櫻子「き、貴様ですって!?」
司「たしかにうちのステージはオンボロで風が吹けば飛びそうだが、オレ達のショーは最高だ!うちの寧々やAの歌だって、貴様には負けておらんっ!!」
寧々「あ...」
A『わ、私!?ちょ、司くん落ちついてよ....!!』
櫻子「ふぅん、柊さんも歌えるの。....はぁ。リーダーがあなたみたいな野蛮人じゃ、せっかくのショーもああなってしまうわけよね。これからも、あの″ままごと″みたいなショーを続けていればいいわ!」
寧々「...っ!...す、好き勝手、言わないでよね...」
寧々ちゃんが私の横で声を絞り出した。
えむ「寧々ちゃん?」
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作者名:ゆう | 作成日時:2022年1月13日 18時