３３ 遅れてきたサンタさん ページ48
大きくなったら、なんでも問題がスムーズに片付けられると思ってた。
かっこよくトラブルさばいてクールにね。
それなのに、ままならないことばかりが増えいく。
溜息飲み込んで、なんとか笑って過ごす日の多さばかりを数えちゃうんだよ。
こんなはずじゃなかったのにって、小さい頃の私が顔をだす。
兄ちゃんの背中におぶさって、サンタが来ないってさ嘆く日も来るなんて思わなかったよ。
ぐちゃぐちゃな思考を兄ちゃんの背中にすりつける。
あーあーかっこ悪いね。
「……たしかにさ、大人になったらサンタはこないけど、サンタにはなれるからな」
はい？何いってんのこの兄ちゃん。
肩越しに、覗き込めば胸ポケットから取り出した何かを渡してくる。
「ほい、兄ちゃんサンタからのプレゼント。はよ受け取れ、ずり落ちる」
慌てて受け取れば、赤いリボンのついた鍵ひとつ。
「……兄ちゃんこれ」
「俺達の家の合鍵、持ってないだろ？」
「たしかに、私の家の合鍵は持ってるくせにな」
「ま〜だ言ってんのか」
「いうよ」
「へいへい。……だから飲みたければ兄ちゃんの家で飲めばいいだろ？」
手のひらの鍵は兄ちゃんの体温でぬくまって、思わず握りしめた。
冷たくなるのが、なんだか嫌だった。
なんとなく、ちょうだいなんて言えなかった鍵。
ふへへなんて笑えば、バーカッてこづかれた。
「兄ちゃんサンタに言うことは？」
「……ココアが飲みたい。マシュマロつけて！」
「オマエねー。って、まぁいいか。ほれしっかりつかまってろよ？」
「うえーい！兄ちゃん号全速前進！！」
「了解だ！説教の準備をしてる兄者の元へ、光の速さでさぁ行くぞ！！」
はい？今なんつった？
「ちょ、兄ちゃん！」
「さ、兄者のお説教タイムだー！！」
いやいやちょっと、ムリムリムリ！
兄者の説教長い、酔ってる頭じゃ辛い！！
「勘弁してよ〜」
情けなく広い肩口にしがみつけば、高らかな笑い声。
「素直に説教されてこい、終わったらココア入れてやるから」
「うーうー、了解です……」
それから兄ちゃんサンタは、正座と説教で討ち死にしてる哀れな妹に、約束通りくっそ甘いココアを入れてくれましたとさ。
大人はどうやらサンタになれるらしい。
来年は、私もサンタガールにでもなりますか。
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chie☆(プロフ) - unknownさん» レスありがとうございます！のんびりと楽しみに更新を楽しみにお待ちしておりますね♪ (2018年11月16日 18時) (
レス) id: 04354e8005 (このIDを非表示/違反報告)
unknown(プロフ) - chie☆さん» chie☆様コメントありがとうございます！ちょっとちぐはぐな彼女らをよろしくお願いしますｖ (2018年11月16日 7時) (レス) id: 327001836d (このIDを非表示/違反報告)
chie☆(プロフ) - 仲直りするシーン、泣けちゃう。お話の展開も他の方には無い感じやし♪サクサク更新有り難き！ (2018年11月16日 6時) (レス) id: 04354e8005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：unknown | 作成日時：2018年11月8日 19時
