８ ご遠慮いたします ページ13
公園の散歩道をゆっくり歩く。
黒い海が、街の明かりを映して穏やかに揺れている。
手はそのままで、ちょっとだけ無言で歩く。
言葉を探すように、あの頃を懐かしむように。
「もったいないなぁ……」
ポツリと言葉を落とすおついちさんに笑って、繋いだ手を揺らした。
「いい大人なのに、なんにも変わってない変われない……臆病者ですよ」
「もしさ、拒まれた理由を聞いたら変われる？」
痛みの元凶、その理由を聞いたら……楽になれるのかな？
「きっと兄さんは覚えてない。それに兄貴が――あなたがいれば兄さんは幸せですよ」
そう、きっとそれが正解なんだろう。
まっすぐ前を向いて歩いてたら、後ろに手が引かれ進めない。
「……そこに妹ちゃんはいないのかな？」
「私は……」
ガサッガサッ！！
「兄ちゃんと一緒に遊ぶって言っただろう！？」
「やーっぱり我慢できなかったか」
「兄さん……」
茂みからどこぞのヒーロー？ のごとくシュバッと飛び出して来たのは、兄さんだった。
「……金曜日の放送は？」
「兄者がしっかりやってくれてる！」
「あー、今度お詫びのサプライズしないとなぁ、弟者くん」
「無論だ！！」
驚いてないおついちさんの様子から、兄さんがいるの知ってたみたいだけど。
「いや、兄さん私がいるの嫌でしょ？ 無理しなくていいよ」
「そんなこと言ってないだろ！？」
「でも……」
５歩の距離がすっごく遠くて、逆光が表情を見せてくれない。
いまさら行けるわけ無いじゃんか……。
「あの時のことは謝らない。そうしなきゃお前までいじめられてたから」
「兄さん……？」
「いじめっ子にオマエまでいじめるって言われて、それだけは絶対に嫌だったんだ」
１歩
「でも、今はもっと嫌だ！」
２歩
「もう誰にも負けない」
３歩
「だからもう一度、兄ちゃんと一緒に遊ぶぞ！！」
ガッチリ繋がれた手。引き寄せられて抱きしめられた体。
頭まで抱え込まれて息苦しい。
兄さん大っきくなったんだなー。
体温高いよね。
てか、私５歩なのに兄さん３歩かい。
なんて場違いなことばかりが、頭の中をぐるぐるぐる。
「それで、妹者として２BRO.を一緒にやってくぞ！！」
「あ、それは遠慮します」
「即答！？」
うん、そこは遠慮するから。巻き込みイクナイ。
「ふははは！ 弟者さんふられてやんの！！」
「うるさいよ！？ちょっと外野は黙ってって！！」
心の距離感は近づいても、物理的な距離感は程々でお願いします。
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chie☆(プロフ) - unknownさん» レスありがとうございます！のんびりと楽しみに更新を楽しみにお待ちしておりますね♪ (2018年11月16日 18時) (
レス) id: 04354e8005 (このIDを非表示/違反報告)
unknown(プロフ) - chie☆さん» chie☆様コメントありがとうございます！ちょっとちぐはぐな彼女らをよろしくお願いしますｖ (2018年11月16日 7時) (レス) id: 327001836d (このIDを非表示/違反報告)
chie☆(プロフ) - 仲直りするシーン、泣けちゃう。お話の展開も他の方には無い感じやし♪サクサク更新有り難き！ (2018年11月16日 6時) (レス) id: 04354e8005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：unknown | 作成日時：2018年11月8日 19時
