難攻不落の向井くん

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紫Side


今日から三年になる。

クラスは二年の時と同じだから何の面白味もない。


「なぁ、お前後輩いったの？」

「んー」

「どうだった？」

「普通。可愛いだけでつまんなかったから振った」

「うわ、最低(笑)」


そう言って笑う翔太も隣のクラスの奴を
ヤリ捨てしたって、俺は知っている。


「お前は？」

「そうじゃん、大学生。良い感じ？」

「いや、中身が子供だったから別れた。俺もっとお姉さんタイプが好きだし」


目黒も別れたのかぁなんて言ってはいるけど、
正直誰も興味無いんだろうな。

女なんて腐るほど寄ってくるし？

遊びたいだけ遊べるし、
別れたらまた新しい女引っ掛ければ良いだけの話。


「今狙ってんのいねぇの？」

「あ、俺シズカちゃん」

「養護教諭の？」

「そ。」

「あー分かる分かる。じゃあ俺もシズカちゃん狙おっかなー」

「ふーん。じゃあ俺も」


二年生になって一緒のクラスになった俺らは
いつの間にか仲良くなっていた。

仲良くなりすぎて、
今では誰が一番女を落とせるかっていう
ゲームをしてる。

ターゲットが重なった時はポイントが二倍。

つまり、今回のターゲットは
養護教諭のシズカちゃん。


「てか目黒ほんとお前年上好きな？」

「えろいじゃん？」

「うわ…」


翔太の声に、めめがにやりと笑う。


「てかお前大丈夫なの？事務所とか」

「知らね〜。でも俺しょっぴーとかふっかさんと違って別れる時も優しいから。恨まれたりしないよ」


そう、めめは今をときめく人気モデル。

そりゃあモテるよなぁ…と思いつつもやっぱり心配ではあって。

そう思って聞いてやったのに
何か棘のある言い方をされたような…


「あー俺別れる時優しくするとか無理だもん。何で好きでもない奴に優しくしなきゃなんないの？」


まぁ確かに俺も酷いけど、
真顔で頭にハテナマークを浮かべる翔太とは
一緒にしないでいただきたい。


「てかさ、今日A組に転校生来るらしいよ」

「まじ？女？」

「男」

「じゃあ興味ねぇわ」

「「な。」」


翔太の言葉にめめと一緒に頷いた。


「可愛い子だったら良かったのに〜」


そう悔しがっていた俺たちが、
まさかその転校生に振り回されることになるなんて、
今はまだ知るよしもなかった…。





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