性別の壁なんてぶっ壊せ

天然って怖い ページ22

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チラリと横目でAを見る。何食わぬ顔で仕事をしているが、果たして、その心は今何を思っているのか…──



『織田作、どうしたの？私の顔になんかついてる？』

「吹っ切れたのか…」

『ん？何？』

「否、何でもない」



泣きついて話してくると思っていたが、怖いくらいに"いつも通り"だった


そのくせ、「昨日ご馳走してもらったステーキ美味しかったんだよ」と無邪気に笑って言っていた



失恋した日の翌日、そんなに軽いものなのか



「……分からん」

『如何した織田作、何か悩み？』


何故、立場逆転しているのか…



俺に何も言わないということは自分で考える、という意思表示なのかもしれない。だとしたら、俺が踏み入る問題ではないのか？



だとしたら、今、最大限、俺ができることは…──




「A、後はもうやっておく。今日は上がっていいぞ」

『えっ？いやいやいや…何でだよ。あ、もしかしてこの地味な作業好きなの？』

「…まぁ、そんな所だ」


この際勘違いでもいい。早く自分と向き合ってちゃんと答えを探し出してくれ



マフィアのフロント企業のホテルである此処の"横領証拠書類探し"は実にめんどくさい。俺も投げ出して帰りたい


だが、これが俺に出来るAに対する最後の応援だとしたら…



「頑張れよ」

『え、ちょっと何の話？』

「またな」

『は、はあ…』



ろくなことも出来ずに、済まなかった





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