気になる彼女は用心棒 (ページ9)

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『あー、楽しかった！』

あの後も激戦が続き終わりが見えそうに
なかったので《引き分け》という形で
強制終了した。

「なかなかの腕前だった。次は儂と
手合わせ願いたいものだ。」

「李書文！」

『アハハ。お手柔らかに…うお！ナーサリー？』

Aに体当たりすると顔を埋める。

「…心配したのですよ。」

声が肩が震えている。そっと優しく撫でると
上着を強く握りしめたまま顔を上げた。

「血が…！」

額に滲む赤に顔を歪ませる。

『どうって事無いですよ。大丈夫。』

ぐしぐしと袖で乱暴に拭う。

「いけません。今すぐ消毒せねば。」

即座にAの腕を掴み止めたのは
ナイチンゲールだった。

「そうだよ。早く手当てしないと。」

『岡田以蔵さんも…』

「彼の処置はサンソンに任せてあります。
さぁ医療室へ。菌が傷口に触れる前に。」

『こんくらい自分で治せるよー。ほら。』

言うが早いか額を暖かい光が包んだと思ったら
次の瞬間には綺麗さっぱり。
ナイチンゲールが確認のため覗き込む。

『回復魔法で完全回復できてるでしょ？』

「…そのようですね。」

珍しい。引き下がるナイチンゲールはレアだ！

『……これでもまだ駄目？かな？』

様子を伺うようにナーサリーを抱きあげる。
赤が点々とついたシャツの腕の上で
ナーサリーは頬を膨らませている。

「とっても心配したんだから！」

『ごめん。ごめん。』

まるで姉妹だ。

微笑ましい光景だなとほんわかするのも束の間
賭けについての揉め事で一気に騒がしくなった。

『あ！岡田以蔵さん！』

「敗者を嘲笑いに来たんか。」

「騎士様はそんな事しないわ！」

『まぁまぁ。…それで私は認めて
貰えたんですかね？岡田以蔵さん。』

「…以蔵でええ。」

『え？』

「以蔵でええき。」

「おお。ナメクジがデレたぞ。龍馬。」

「お竜さん、以蔵さん頑張ってるから
そういう事言っちゃ駄目だよ。」

「おまんら聞こえちょるぞ。何しに来たがか。」

「決まってるだろう。人間に負けた
くそ雑魚ナメクジを嘲笑いに来たんだ。」

「負けちょらんわ！！」

「見ろ、龍馬。負けナメクジの遠吠えだ。」

「こんスベタァァァ！！！」

「いやぁ以蔵さんと互角にやりあえるなんて
凄いね、君。」

『互角か？』

「ハハハ。まぁ以蔵さんの事宜しくね？」

「もうこんな事は懲り懲りよ！」

『アハハ。』