気になる彼女は用心棒 (ページ7)

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「ちょお、面貸せ。」

ナーサリーとお茶会中、人相の悪い男が
声をかけてきた。
言われるままついていく。
大きなカメラを背負った入れ墨男もついてくる。

『シュミレーションルーム？』

男は手をかざしてドアを開けると中央まで
行き振り返った。

「ワシと賭けんか？」

「賭け、ですの？」

ナーサリーが代わりに答える。男はワシワシと
頭を掻いた。

「最初に言っちょくがワシはおまんが好かん。
立香はすっかり絆されちゅうがワシは
騙されんきの。おまん…何を隠しとぉ？」

生気のない威圧的な眼がAを刺す。

『ん？』

「…まぁ簡単に口を割る訳にゃあな。」

入れ墨男がニヤニヤと笑いながらカメラを
向ける。

「やから賭けや。博打じゃあ博打！
ワシが勝ったら洗いざらい言うて貰うき。」

「…うん。話してくれてありがとう。」

「マスター、私、どうしたら、」

ナーサリーはオロオロしている。

「以蔵さぁん！」

立香は大声で呼びかけた。

「なんじゃあ！？」

「とりあえずなんで中継してるのか教えて！」

「知らん。おっさんが勝手にした。」

「どういう事かな？新シン。」

新シンの方を向き直る。新シンは楽しそうに
カメラを立香に向けた。

「新茶の旦那がなぁ以蔵の話を聞いてさ
中継して視聴者にも掛け金を取ろうって
思いついたワケ。いい儲け話だろう？」

「何言ってるのさ！プリン姉は人間なんだぞ！
もし何かあったら」

「以蔵は宣言した。殺しはしないって。
その瞬間から視聴者は審判なんだよ。まぁ
大丈夫だろ。俺もいるんだし。」

「でも…」

『ナーサリー。』

すかさずカメラはAを映した。

『これ持っててくれる？』

「騎士様…。」

『そんな顔しないで。リトルレディ。』

苦笑を漏らしつつ腰に巻いていた上着を預ける。
不安そうに見上げる小さな頭を撫でながら
立香に顔を向けた。

『君までなんて顔してんの。』

「だって…相手は岡田、」

『相手にとって不足なし。認めてもらうには
殴りあいしか通じない人もいるんだし。』

『まぁ、茶でも飲みながら応援しててよ。
賭けるのはどっちでもいいからさ。』

Aはケラケラと脳天気に笑った。