気になる彼女は用心棒 (ページ29)

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ネタバラシページ29

「ねぇ、さっきもそうだったけど
何か態度が違うよね？所長も敬語だし
なんか…上司と部下みたいな…。」

「私が説明しよう。」

「うわっ！ホームズ！？」

「宜しいかね？」

『ど〜ぞ〜。』

ヒラヒラと手を振るAの隣で
しまった！という顔をしている所長。

「どういう事？説明って？」

「率直に言うと彼は所長では無いのだよ。」

「はあ？所長は所長だろ。何言ってんだ。」

「話は最後まで聞き給え。彼は確かに所長だ。
しかし実際はこのクーデターをくらます為の
カモフラージュ。影武者に過ぎないのだよ。」

「カモフラージュ？影武者？」

ドヤ顔してるホームズには申し訳ないが
何を言っているのかちんぷんかんぷんだ。
頭を唸らせる立香に同情したのかAが
ケラケラと笑いながら言った。

『要するに私が本当の所長って事。』

「へぇプリン姉が本当の所長かぁ………は！？」

皆の視線がAに集中する。
どう説明しようか困るAの代わりに
所長が口を開いた。

「彼の言っている事は本当だ。
A、…ボスは私の上司であり協会が
派遣した。正真正銘、カルデアの所長だ。」

「でもなんで隠してなんか、」

「それこそカモフラージュだ。そうだろ？」

『…来る前に本部から連絡があってね。
一緒に派遣される予定だった職員の何人かが
立て続けに殺された。写真や友好関係を調べても
恨まれる事などしてない、平凡な者ばかり。』

「それって、」

『私はピンときた。ここにはどんな願いも
叶えてくれる聖杯が保管されているからきっと
それを狙っての事だって。だからオスノに
協力してもらって…』

「そっか…プリン姉は所長だったのかぁ。」

『騙すような事をしてごめん。危険な目にも
合わせちゃって…。本当にごめんなさい。』

「なんで謝るの！？そりゃ驚いたけど…
プリン姉は俺達を守ってくれたんだし。
…カルデアを護ってくれてありがとう。所長。」

「所長のお陰で助かりました。」

『りつクン。マシュちゃん。』

「…騎士様。私もごめんなさいなの。私、私…」

『ナーサリー。』

「は、はい！」

名前を呼ばれ背筋を伸ばす。
Aはナーサリーの頬を撫でると
柔らかい眼差しを向けた。

『ありがとう。』

「う、あ、」

ナーサリーの目に涙が滲む。
カルデアのクーデター事件は幕をおろした。

つづく。