気になる彼女は用心棒 (ページ27)

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「やっと来たか！」

ホムンクルス達が男の命令を受け
Aに集中攻撃を繰り返す。

「鍵を寄越せぇぇ！！」

『嫌ですけど？』

防戦一方なのにプリン姉は余裕そうだ。

「先輩！無事ですか！？」

白熱する戦いの中、マシュが走ってきた。
１体のホムンクルスの動きが変わる。

「マシュ！逃げろ！！」

「え、？」

マシュに狙いを定めたホムンクルスが
回転しながら突進する。
突然の事にマシュも身動きが取れない。

『マシュちゃん！』

Aが咄嗟にマシュに襲いかかろうとする
ホムンクルスを拳銃で撃ち抜いた。

「プリン姉！」

『あ。』

視線が逸れた瞬間を狙って男が
A目掛けて襲いかかってきた。
その刃はAのすぐ手前まで来ている。

「死ねぇ！」

ザシュ。

「あ、あ、所長！！」

Aを庇って所長が倒れる。
男は舌打ちをすると後方に跳び距離を取った。

「所長！」

立香が所長を抱き抱える。赤く染まる床。

『…。』

「…ご無事で良かったです……ボス。」

弱々しい声で所長はAに微笑む。
Aは何も答えず駆けつけたマシュに
淡々とした口調で言った。

『早急に手当てを。退路は私が確保する。』

「でも、」

『オスノを頼む。』

所長の名前を呼んだのを初めて聞いた。
さっき迄の雰囲気と違いピリピリとしている。

「…分かりました！先輩、ナーサリーさんを！」

「う、うん。」

マシュに急かされ広間を後にする。
後を追おうとしたホムンクルスの腕を
即座にAが切り落とした。

『ねぇ。』

Aの瞳が黒く濁る。
優しいミルクティーはコーヒーに。
マスクを外し乱暴に床に叩きつけると
剣に血を滴らせる男を睨んだ。

『私の部下に何してくれちゃってんの？』

冷たい、吹雪のような鋭い睨みに
思わず震えあがる。

『…先にそっちが仕掛けたんだから。』

「な、何、」

『今度はこっちの番。』

目は離さずにゆっくりと男に歩み寄る。
行く手を阻むホムンクルスは触れる事なく
地面に倒れていった。

「く、来るな！動くなぁ！！」

ピタリ。
怯えながら刃を向ける男と少し距離を置いて
歩みを止める。

『いいよ。』

「へ？」

『一歩も動かないであげる。どうぞ。』

微笑みを浮かべるAに逃げ出そうと
背を向けたその時、

「なっ！？」

男の足を何かが引っ張った。

『私はね。』