気になる彼女は用心棒 (ページ23)

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反撃の狼煙を上げるページ23

『ありがとね。マシュちゃん。』

放送の電源を切ったAは
微笑みながら振り返る。

「お安い御用です！それよりも早くここから
出ないと…。」

『オーケイ！』

保管室の鍵をポケットにしまい勢いよく
放送室から飛び出す。
頼りない足取りのマシュの手を引っ張り
廊下を駆け抜ける。

『あの後、マシュちゃんが解除してくれて
助かったよ〜。機械系得意なんだ？』

「はい。先輩の後方支援になればと。」

『うんうん。愛だね。』

「みつけたぞ！」

突如行く手を阻まれる。
マシュはAを庇うように前に立った。

「ここは私が！デミサーヴァントとしての力は
ありませんが…時間稼ぎにはなると思います。」

『でも、』

「Aさん早く行ってください！」

男が呪文を唱える。
無数の炎の弾丸がマシュに降りかかった。

「っ！」

迫る炎を睨む事しか出来ない。
そんなマシュの肩を力強く掴む手があった。

『顕現せよ。』

瞬間、丸みを帯びた姿見が現れる。
炎が鏡に写った途端弾丸は軌道を変え
男の元へ戻っていった。

「うわぁああ！？？」

男はなすすべも無く撃沈。
驚いて振り返るマシュにAは
ウィンクしてみせた。

『今のは正当防衛だから。』

そう言うと軽々とマシュを抱え走り出す。
突然のお姫様抱っこにマシュは赤面した。

「あ、あの！？」

『こんなオバさんでごめんね。
そうだよねぇ。りつクンが良いよねぇ。』

「な、なんの事ですか！？…そうじゃなくて！
私、自分で走れますから！」

『知ってる。でもこっちの方が君を守れるし
何かと便利なんだよ。私が。』

「はぁ。」

『効率化が良いって事。大丈夫。
落としたりしないから。』

またニコリと微笑む。
腑に落ちないままのマシュであったが
緊急事態の現状を思い出し諦める。

「そうですね。それではお願いします。」

『任された！』

「なるほど。抱っことはこのような乗り心地
だったのですね…。」

『あれ？初体験？りつクンにしてもらって？』

「どちらかと言うと私が先輩を抱えてました。」

『そっかぁー。尚更、初めては大事だよね。
本当ごめんね。私みたいなオバさんでさ。』

「あの、先程から疑問だったのですが
Aさんはご自身で言うほど年を召しては
いられないように見えるのですが…。」

『そう？』

「失礼ですがおいくつなのですか？」

『内緒。』