裏切りの刀

似た者同士 ページ30

大包平「姉者だ！」

膝丸「いや、兄者だ！」

「あれ？珍しい…あの二人が喧嘩？」

丁度通りかかった審神者が近くにいた加州に
声をかける。

加州「あ〜、喧嘩って言うより兄姉自慢…？」

「あっ…(察し)」

やれやれとため息をつく加州とまた
二人の方を向き直る。
さっきよりも口喧嘩がデッドヒートしていた。

加州「兄姉大好きな所とか似てるんだから
仲良くすればいいのに。」

「同族嫌悪ってやつかな。」

加州「そう言えば備前と髭切も似てるよね。」

「どこが？」

加州「いっつもニコニコして何考えてるのか
分からない所とか。」

「確かに似てるかも。」

加州「あ！あと怒った所を見たことがない。」

「絶対強いのに本気を出さない所もね。」

そう言って備前と髭切の普段の戦闘体制を
思い出し揃って苦笑した。

「近景に関しては他の子ばっか庇うから
手入れ部屋常連者だし。」

加州「太刀だから無駄に資材使うし。」

「でもまぁ、手がかかる子程可愛いってね。」

にししっと笑う審神者に加州は肩をすくめた。

加州「主も備前甘やかすの大概にしてよね。」









備前「クシュッン！」

髭切「ありゃ、風邪かい？」

備前「う〜ん。そうなのかなあ？」

縁側で団子とお茶を嗜む備前と髭切。
団子を狙ってか小鳥が足元でこちらを伺っている。

備前「風邪なら石切丸に頼まなくっちゃ！」

髭切「彼は邪気を祓えるから凄いよねぇ。
邪鬼だったら僕も切れるのになぁ。」

備前「邪気を邪鬼とかけたの！？凄い！
髭切、歌の才能あるよ。」

髭切「書く前に忘れてしまうからなぁ。」

団子を小さく千切って小鳥に投げる。
一生懸命ついばむ小鳥をみつめながら
髭切は笑った。

髭切「君が鬼になった時はチャンスだと
思ったんだけどねぇ。」

備前「ふーん。そういう事は覚えてるんだ。」

ピチチチ。

備前「でも、君じゃ私は倒せないよ。」

バサササッ！
小鳥達が一斉に飛び立つ。
何かに怯えるように逃げる。

備前「……なーんてね。」

お茶をすする備前を横目で確認すると
残った団子を噛みしめた。

髭切「そうだねぇ。あんな事は僕も御免かな。」

髭切の牙が覗く。

(ほらね。君は鬼よりも恐ろしい。)

白い牙が団子を噛み千切った。

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