裏切りの刀

よろしくね ページ2

備前「あれー？君が今度の主さん？？」

固まる審神者に明るい声で話しかける。

「そ、そうだけど。」

備前「私は備前近景！いっぱい頑張るから
仲良くしてね。」

「んんん！？」

絹の様な柔らかな笑みを向けられ
審神者は赤面した。

(なんだこの娘！可愛すぎか!!)

「あ、あぁ。よろしくね。備前。」

なんとか表情を保つ審神者。
太刀と言うだけあって背丈は高いが
幼さが残る声とふんわりとした優しそうな
雰囲気が「可愛すぎか。」

備前「主さん？どーしたの？」

「え！？あ、声に出てた…。まっいっか。
それより備前。備前の主だった人って…。」

備前「光秀だよ。」

(呼び捨てかい。)

備前「正しく言うと光秀からガラシャに渡って
その後は人から人へ…って感じ。」

「え、ガラシャって娘の細川ガラシャ？」

備前「そうそう！実は光秀よりもガラシャの
方が一緒にいた時間は長いんだよね〜。」

「なるほど。」

楽しそうに話す備前をよそに
審神者はすかさずメモ帳にメモをした。

(備前近景が女の姿なのも細川ガラシャの
影響かもしれない……っと。)

政府から頼まれた以上 少しの情報でも
提出しなければならない。
メモ帳を直すと備前は自身の体を面白そうに
動かしていた。

「よし。じゃあ広間に行こっか。」

備前「広間？」

立ち上がったついでに備前の華奢な手を
引っばって立たせる。
長谷部よりちょっと小さいぐらいかな？

「うん。そろそろご飯時だし皆広間に
集まってると思うから。紹介ついでに
ご飯を食べよう。」

そして襖を開けようと手を離した、のだが
いつまでたっても備前が離そうとしない。

「どうした？」

備前「…もうちょっと繋いでたい。」

「え！？」

うつむいて呟く備前に

(どうしよ。可愛い、可愛いんだけど！？)

と困惑した審神者が焦る事１分。

備前「…なーんてね。嘘だよ。」

ぱっと手を離し無邪気に舌を出すと
呆気にとられる審神者を置いて廊下へ
駆け出した備前が振り返って笑う。

備前「わがまま言ってごめんね。」

少し申し訳なさそうに笑う。

(あああああああぁあ!！天使かよ！！)

奥歯を噛み締め平穏を保つ。

…なんか……新しい世界が開けそうDES。

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