ヘタレくん . (ページ20)

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作業も順調に進み、各々帰っていく。最後まで残っていた私ととしみつも帰ることにした。

と「帰らんの？」

『柴田まだ来てないっぽいし待つよ』

するととしみつは私の隣の席に深く腰かけた。

『先帰っていいよ？』

と「さっきの、」

『ん？』

言うのをやめてしまったとしみつに聞き返すと、どこか決心したような顔をしてもう一度聞いてきた。

と「俺とそういう風に誤解されんの嫌だった？」

『 …い、いやじゃないけど、』

急な質問に驚く私にとしみつはちょっと眉を上げて笑う。

と「俺さ、好きって分かったらアタックしまくるタイプ」

『 …え？』

と「察してよ笑」

と「 …覚悟しといて」

座っていたとしみつが立ち上がって、すれ違いざまに私の肩に手を置いた。

状況が整理出来なくて、覚悟しといてって私の事が好きだって言ってるようなもんだけど、そう受けとっていいの…？

じわじわ顔に熱が集まる。

柴「 A？」

『えっ！？あっ、…なに？』

後ろから突然話しかけられたからとしみつかと思ってさらに顔が熱くなる。振り向いたら柴田だったので安心して腰が抜けたように椅子に座ってしまった。

柴「なんか顔赤くね、？」

柴「俺の熱移ったんじゃ… 」

私の方に伸びてくる手を右手でやんわり掴んで制止した。残った左手は顔を抑えるのに必死でなんだか視界がくらくらする。

『だ、大丈夫！帰ろ帰ろ！』

小走りで教室を出ると柴田がふざけた声で待ってよー、と言ってくるけど、なんだか笑えなくて前髪をクシャッと掴んで気を紛らわせた。

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