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トントン…
吉沢「どうぞ」
ノックの音と共に楽屋に入ってきたのは匠海だった。
吉沢「今日はありがとうな。まじで助かった」
北村「いやいや、こんな貴重な機会に参加できて僕も嬉しいです」
吉沢「何か用あって来たんじゃない?」
北村「お亮…聞いて欲しい話あって…」
と、言って匠海は俺に相談をし始めた。
話の内容は東京リベンジャーズの続編制作が決まったが、俺とAが夫婦という事でスポンサーがキャスティングの続投に納得していないらしく、Aが演じたヒナ役を別の俳優さんが演じる可能性があるという事だった。
北村「俺は1の時の皆んなが出てくれるなら制作するって伝えた。ヒナはやっぱりAちゃんに演じて欲しいから」
吉沢「なるほど。俺達のせいで迷惑かけてごめんな?」
北村「いや、お亮もAちゃんも何も悪くないです」
吉沢「スポンサーか…俺達俳優には何も出来ないからな〜」
北村「…今回のキャスティングに変更があれば俺は主役を降りるつもりでいます」
吉沢「それはやめとけ」
北村「そのくらいこの作品は俺にとっての大事な作品なんです‼︎」
匠海の熱い想いに俺はそれ以上何も言わなかった。
そして別室で待機してるAに、匠海とその話をしに行く事にした。
話を聞いているAの表情は申し訳なさが滲み出ていて、匠海に対して謝罪の言葉ばかり出ていた。
その時俺は予想していた最悪な状況に陥っているのではないかと不安になり、マネージャーや事務所にこの件の問い合わせをする事にした。
数日後、マネージャーからの連絡でキャスティングに変更はなくそのまま撮影する事になったが、番宣や舞台挨拶等に夫婦での登壇は無いとの事だった。
役所的に多分俺は登壇をしないといけない。
となると、自然とAが出れなくなるのか…。
芸能活動を引退すると決めていたAはおそらくこれが最後の作品になるだろう。
今年中の撮影で来年には公開すると聞いていたから、公開時の舞台挨拶等が表に出る最後の機会。
その機会を失わせてしまった事とこの状況で何も出来ない自分の無能さに頭を抱えた。
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作者名:AI | 作成日時:2023年7月7日 13時