【CY】満月 (ページ3)

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キム・ミンソクページ3

「お前、酷い顔してる。」
『あぁ…おはよ、ミンソガ。』
「なんかあったのか？」

私を覗き込む大きな猫目。
彼の名前はキム・ミンソク、私と同じく27歳。

同じ時期に配属された所謂同期だが、
ミンソクは恐ろしく仕事が出来る男だ。
人望が厚く、出世コース真っ只中って感じ。

『大丈夫大丈夫。』
「大丈夫な顔じゃないだろ、馬鹿にしてる？」
『ミンソクには分からないもん。』
「話せば楽になる時もある。」

彼とのことを話して笑われたらどうしようか。
いや、きっとミンソクのことだから
笑わずに真剣に受け止めてくれるだろう。

真剣に受け止められた所でって感じもするけど、
ミンソクに相談するのが得策だ。

『ミンソガぁ…。』
「おう。」
『ここだけの話なんだけどさぁ。』
「勿体ぶってないで早く言え。」

人の気も知らずに溜息をつくミンソク。
アラサーの色気ムンムンな猫ちゃんって感じ…笑
言ったら100%怒るだろうけど。

『セフレってどう思う？』
「…は？」
『いやだから、そういうお友達ってどう思う？』
「どうもこうも…お前、まさか。」

そのまさかに続く言葉で正解です、ミンソガ。
私、この歳になって遊ばれてるんです。

「…どこのどいつだ。」
『うーん、名前しか知らないからなぁ。』
「は？お前それ普通に…。」
『うん、遊ばれてます。』

うんじゃねぇだろうが、と一喝。
ミンソクはさっきよりもっと大きな溜息をついた。
はいはい、蔑んだ目はやめて下さいよ。

「金でも貰ってる？」
『いや、何も。』
「お前…馬鹿じゃねぇの？」
『だって仕方ないんだもん。』

珈琲を飲み干したミンソクは呆れたように
自分の携帯に目を向けた。

『聞いといて結局興味ないんじゃん。』
「興味無いとかじゃなくて、驚いてんの。」
『驚いたら携帯触るの？』
「…冷静を装うのも時には大事だからね。」
『何よそれ。』

後輩の子達がオフィスにやって来た。
何人かが目をハートにしてミンソクに
挨拶するけど、ミンソクは相変わらず冷めてる。

ちょっとは笑顔作れっつーの。
ああ、おはよ。って真顔で言われてもねぇ。

「とりあえず今日は飲みにでも行くか。」
『ミンソクの奢り？』
「俺がAに払わせた日があったか？」
『いえ、ないです。』
「…よろしい。」

やっぱり持つべきものは良い同僚だな。
改心したからその冷たい目やめてくれ、ミンソク。