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しばらく走ったところでようやく足が止まる。
「ハァ…大丈夫?結構、走った、けど…」
夜さんは息も絶え絶えになりながらも私に声をかけてきた。
やはりこういうことするあたり、優しいのだ。
だけれども私は大きく頷くだけで精一杯だった。
そして意識は手元にいく。
「…ッよる、さ…て…」
自分でも聞き取れるか微妙な声量、伝わっただろうか?
夜さんには伝わったようで急いで手を離した。
「あ、えと、ごめんね?その、嫌だったよね!」
「別にそういうわけじゃ…夜さんなら大丈夫、かと…」
「そ、そっか…」
え、あれ!?
私なんか変なこと口走ったような…意味深発言だと思われたのかもしれない!
すごく恥ずかしくなって掛ける言葉が見当たらない。
それからはお互い無言になってしまったけれども陽にぃの家に行く足は止められない。
途中、何度もちらりと夜さんの顔を伺う。
だけれど夕日に照らされその表情がどんななのかは見受けられない。
私の目がおかしいのかほんのりと林檎色に染まってるように見える。
きっと私はそうなのだろうけど…
先程から私はおかしい。
変に鼓動が速まったり、熱くなったり、
夜さんのことばかり考えたり。
それほどまでに夜さんは私にとって重要人物なのだろうか。
私は物語の主人公だなんて到底なれるわけのない脇役として自分の人生を積んでいるはずなのに…。
そんな脇役にこんなに輝かしい主人公のような人が隣にいてもいいのか。
…考えるほど訳が分からない。
私は強制的に思考をとめた。
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作者名:塩キャラメル(□‐□)なのだよ | 作成日時:2016年9月1日 22時