【ツキウタ。】夕月夜の長月夜 (ページ8)

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ぼーっとしつつ、夜さんの話には相槌を打ったりしていた。
夜さんの話は大体陽にぃのこと。
やっぱり仲いいんだな、と思う。

そうして何気なく夜さんの隣を歩いていた。
そう、夜さんはアイドルではなく、大学の先輩で陽にぃの親友だというポジションだと思っていたのだ。

｢ねぇ！プロセラの長月夜じゃない！？｣

｢マジー！？ちょー好きなんだよね！！｣

夜さんも人気アイドルだ。
人の目に付けば黄色い歓声。
まぁ、私はずっと夜さんについて考え込んでいて気付いていなかったのだけれども…。

｢Aちゃん、Aちゃん！｣

肩を揺すられたところでようやく気がついた。
だけれど正面から肩をつかまれてドキッと…って、どうして、ドキドキしてるの？

｢早くここから離れよう！｣

｢は、はい！｣

…何気なく手握られてるけれども走らなきゃいけない。
触れている手だけが熱湯を被ったように熱い。

これは、私がただ…男の人に慣れてないだけ。

それだけなんだ。

夜さんはアイドル。

別に特別な気持ちなんてないんだ。

何だろ、私…バカみたいだ。