3 ｢パーティー｣ ページ4
｢皆さん、お客様がいらっしゃいました｣
執事の男性に促されるままに私達は洋館へと足を踏み入れた。
中は外観とは打って変わって綺麗にされていた。
やっぱり明るさの問題だったのかもしれない。
｢さぁ、お掛けください｣
広い部屋に通され、私達は名前の書いてある席についた。
｢お茶を召し上がれ｣
メイドさんがティーカップを持ってくる。
あのティーカップってあの封筒と同じ…。
右隣に座っていた松川にアイコンタクトを送る。
すると松川も分かっていたようで小さく頷いた。
気付くと全ての席が埋まっていた。
この館の使用人たちも集まっている。
｢…気味が悪い｣
率直にそう思う。
招かれた客人を値踏みをするようにじっと見てくる。
｢お姉ちゃん！パーティーしよ！｣
｢え…ｯ｣
｢そうだよー！パーティー！パーティー！｣
｢静かにしなさい。すみません、主の娘さんと息子さんが｣
｢あ、いえ…｣
何、今の子たち…目がガラス玉みたいだった。
例えるなら命を吹き込まれた人形。
｢いいんじゃないですか？｣
｢お、及川…｣
｢パーティー、しましょうよ｣
何をあらぬことを言ってるのよ…。
及川を見ると笑っていなかった。
…やっぱり皆も可笑しいことに気付いてる。
だったらそこで何か仕掛ける？
｢いいのですか？では、お客様を歓迎いたしましょう｣
ぞろぞろと出ていったメイドさんや使用人の人達。
スッと息苦しさがなくなり、額に手を当てる。
｢先輩、大丈夫ですか｣
左隣の国見が覗き込みながら言う。
｢国見、大丈夫。ちょっと眩暈がするだけだから｣
｢無理しないでください｣
｢ええ…｣
向かいの席から金田一の心配そうな声がした。
それにしても…
｢及川、何であんな事言ったの？｣
｢だって明らかに可笑しくない？｣
｢そんなこと分かってる。だからどうするの？｣
｢今夜はパーティーで様子見しようと思って｣
｢今夜は、ってどういうこと…？｣
含みのある言い方にふと違和感を感じた。
まるで明日もここに居るような。
｢さっき、見たんだよね。俺らが入った後、執事の男が玄関の鍵閉めてるの｣
｢普通に戸締まりじゃねぇのか？｣
私も岩泉の声に賛同する。
だけど及川はボソリと呟いた。
｢その鍵、窓から外に投げてた｣
｢…出られ、ない…？｣
私達はそこから誰も喋ることなく、運びこまれる料理を眺めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
塩キャラメル(□-□)なのだよ(プロフ) - ぷっちょレモン★さん» ありがとうございます！面白かったですか!?そそそそんな…ｯもう、嬉しすぎて、何て言えばいいのでしょうか…！と、とにかくありがとうございました！！ (2016年7月21日 16時) (
レス) id: 930d503b85 (このIDを非表示/違反報告)
ぷっちょレモン★ - 凄く面白いです！！塩キャラメル(□-□)なのだよさん憧れているのでとても面白かったです！ (2016年7月21日 8時) (レス) id: 1739a852fc (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(□-□)なのだよ(プロフ) - きらりさん» ありがとうございます！正直自分で意味わかってないですけどw楽しんでいただけたら良かったです！ (2016年6月30日 20時) (レス) id: 930d503b85 (このIDを非表示/違反報告)
きらり - なるほど、このような解釈もあるのですね。とても楽しませていただきました。ありがとうございます！ (2016年6月30日 19時) (レス) id: 169d5d9e98 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(□-□)なのだよ(プロフ) - 白魔さん» おお！及川さんが殺 す時に主ちゃん笑う!!!!最ｯ高ですね!!!!wありがとうございます！ (2016年6月22日 22時) (レス) id: 930d503b85 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：塩キャラメル（□‐□）なのだよ | 作成日時：2016年4月28日 22時
