【 HQ】Happy Birthday. My honey.← (ページ12)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:903 hit

あと1日！？ページ12

病室を出てとりあえずウロウロしていた。
Aが隣に居ない人生なんて考えられない。
正直考えたくもない。

｢昏睡状態とか…意味分かんない｣

目を覚まさないAを見るくらいならあの世からまた笑ってるAを見る方が何十倍、何百倍も幸せだ。
たとえAがそれを望まなくても。

｢国見｣

｢松川さん？花巻さんに金田一まで…｣

｢ちょっと、気分転換しようぜ｣

｢え？｣

｢まぁ、着いて来いって｣

花巻さんがニヤリと笑って先を歩き出した。
その後を松川さんも着いていく。

｢国見、行こうぜ｣

｢金田一…はぁ…｣

何を考えているんだ、この人らは…。
なんて思いながらも着いていくのは気持ちが安定しないからだろう。
向かった先は病院近くの体育館だった。
貸切のようで人は誰もいない。

｢何するんですか｣

｢そんなの決まってるだろ！｣

｢バレーすんだよ、バレー｣

｢ずっと休んでて体鈍ってんじゃねぇの？｣

｢…別に｣

｢塩キャラメル｣

｢…やればいいんでしょう、やれば｣

別にモノに釣られたわけじゃない。
やりたくないことをさせられるんだったら何かくれてもいいだろう、と思ったからだ。

｢じゃあ2対2になりますよ？｣

｢だから特別に一人何回触ってもOKにしよう｣

｢じゃあチームは俺と国見｣

｢だったら俺と松川さんですね｣

｢１回勝負な！｣

そうして俺は意外にも花巻さんとの連携も取れ、結構楽しんだ。

･

･

･

結局フルでやり俺達が勝った。

｢手加減ねぇよなー｣

｢だってシュークリームが懸かってるからな｣

｢え！？初耳ですよ！｣

｢あはは…っ！あー疲れた｣

久しぶりの試合形式の練習。
特別ルールが結構キツかった。

｢な？楽しかったろ？｣

｢まぁ…はい｣

｢ったく、素直に言えよー｣

｢楽しかったですよ｣

｢バレーも柊も同じだ。楽しんでりゃあその先、良いことあんだよ。気長に待ってれば必ず柊も目を覚ます｣

ああ、それを言いたかっただけにわざわざ俺を呼んでバレーしたのか。
何だか花巻さんの言葉は説得力がある気がした。
じんわりと心の奥が熱くなる感じがする。

｢じゃあ帰るかー｣

｢国見は病院に行くか？｣

｢うん。待ってなきゃいけないから｣

自然と笑えた気がした。
さっきまで暗闇に閉じ込められたかのようだった俺の感情は暖かなものへと変わっていった。

｢じゃあな！まぁすぐ行くからな！｣

｢はい。ありがとうございました｣

俺はまた一人、病院へと戻った。