story*31* もっと知りたい ページ33
不動くんが私を誘ったのは意外な理由。
それは、不動くんのお母さんの誕生日プレゼント探しだった。確かに、女の私がアドバイスをしてあげた方が、不動くん1人でプレゼントを選ぶよりはいいかもしれない。センスには正直自信がないが、ファッションを見る限り不動くんはセンスが良さそうなので一緒に選べば心配いらないだろう。
「……不動くんってさ、やっぱり優しいよね」
「別にそういうんじゃねえよ。普通に面倒だし。プレゼント送らねえと、忘れてたなんてひどい、ってグチグチ言われるから」
「ふふ、そういうのを優しいっていうんだよ。お母さんきっと喜ぶね」
「まあ……そうだな。母さん、今一人暮らしだし」
一人暮らし、という言葉に私は首を傾げる。
……そうか、父親がいないのだ。どうしてかは分からない。単身赴任中なのかもしれないし、死別かもしれない。今時珍しいことじゃないけれど、ここはどう返すのが正解なんだろう。私が口ごもっていると、
「うち、両親離婚してるから」
と、不動くん。私はそっか、としか返せなかった。こういうとき、自分の口下手さが少しだけ嫌になる。私は気のきいた切り返し方するのが苦手だった。
「……お母さん、誕生日いつなの？」
「ちょうど一週間後」
「そっか、じゃあ結構余裕あるんだね。うーん、どういう系がいいのかな。やっぱり雑貨とかかな」
「俺、少し下調べしてきてて、行きたい店あるんだけど」
「そうなの？どれどれ……」
ここ、と私にスマホを示して見せる不動くん。私が画面を覗き込むと、いかにもセンスの良さそうな雑貨屋さんのサイトが表示されていた。写真を見るに、ここから歩いて3分ほどのところにあるその店には、可愛らしいマグカップやおしゃれな食器なんかが売っているらしい。
「めっちゃいいと思う。女の子はこういうの好きだよ」
「おー、じゃあとりあえずここ行くか」
とりあえず、ということはあえて口にせずとも行きたいお店が他にもたくさんあるらしい。面倒だ、なんて言いつつ乗り気な不動くんはやっぱり優しいのだ。
さっきの少し重くなった雰囲気を、不動くんは全く気にしていないようだった。多分、ああいう雰囲気に慣れているのだ。私が落ち込んでいるとき、不動くんはいつも私が欲しい言葉をくれる。それなのに、何もできない自分が情けなかった。私も、力になれたらいいのに。
不動くんは、帝国に来るまでにどういう人生を歩いてきたんだろう。少しずつ、知れたらいいな。
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しろごま(プロフ) - 神奈さん» ありがとうございます！！好きって言ってもらえて嬉しいです…めっちゃやる気出ました笑 (2022年2月16日 8時) (
レス) id: 0e001a0820 (このIDを非表示/違反報告)
神奈 - いつも好きで読ませてもらってます! これからも応援してます！ (2022年2月14日 22時) (レス) id: d32b71780d (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 愛さん» わわ！ありがとうございます…！更新サボっちゃって本当にスミマセン…絶対更新するので待ってて頂ければ…！ (2022年1月19日 1時) (レス) id: 8dce978bad (このIDを非表示/違反報告)
愛 - 更新待ってます！ (2021年12月15日 23時) (レス) @page26 id: 1d59dbc1f2 (このIDを非表示/違反報告)
しろごま(プロフ) - ぶんこさん» わわ！お読みいただきありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです。更新頑張ります！ (2021年8月21日 12時) (レス) id: c8158e73de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろごま | 作成日時：2021年8月19日 3時
