兎と微熱 (ページ3)

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気づいたら朝だった。

「ゔげぇ」

昨日の記憶。
まるで無い。

正確にはさっきのところで終わり。
色っぽい男の子に腕を回されて…それだけ。

…年下？

急に気になった。
シラフの状態で思い返すと、年下っぽく見えた顔。

いま考えても
いつ考えても
あの目。あの腕。あのにおい。
すべて色っぽくて艶やかで…
今のあたしには程遠いくらいの記憶。

名前くらい…聞いときゃよかった。

いや聞いてどーすんの…

はたと我に返る。

プルル

知らない番号。

…ピ

切ったあとすこし考えた。

…もしかしたら彼だったり？

迷って
迷って
またかけ直した。

…なんだ。出ないじゃん。

1分も経ってないはずなのにな…
留守番電話サービスにつながれても
なにも残すことないし。

名前だってしらない。

…そもそも彼かどうかもわからない番号。

なにやってるのあたし…

ズキッ

「ゔわ、頭いだぁ」

…昨日どんだけ飲んだんだろ。

彼のにおいを思い出しながら
ウコン片手に扇風機をつけた。

今年の夏はいつもより暑い。
あたしは平凡なまま。ただ、いつも通り。

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