兎と微熱 (ページ1)

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ひさびさにお酒を飲んだからバチが当たったのか。
大きな黒目に魅せられて
あたしの体温が上がっていった。

…すべてはこの日から始まる。
　
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「お疲れさまでした～」
やっとおわった仕事。
3年目になって残業続きだった今年も
今日だけは、と浮き足立つ気持ちを抑えながら
なんとか乗り切った。

「ふぅ、あっつぅ」

クーラーガンガンだった職場からでると
途端にイヤな暑さがあたしをつつむ。
むしあつい日がつづく今年の夏。
あたしの脳みそも
カラダも
半分以上溶けてる気がする。

ピコン

【ごめん、今日無理になっちゃった】

「げ」

ひさしぶりに会う予定だった高校の友達。
あっちにはもう子どもが居る。
あたしが大学生のときに彼女には子どもができて、いわゆるシングルマザーをやってる。
「なにもかも早い」「若いのに勿体ない」

…なんて思ってたのに

気づいたら出遅れてる方はあたしかもしれない。

【大丈夫。つぎまた飲みにいこ。】

送信してからふと気づく。

あーあ。気合い入れて店予約しちゃったな…

仕方なく、一人で行くとする。

一人飲みなんてしたことないし
ましてや行きつけでも無い店。

でも
キャンセル料がかかるのは納得がいかない。

…変な意地を張った。

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