ウチの末っ子は手に負えない Ⅱ (ページ27)

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「居た、」

朝、毎度の事ながら俺の隣には温もりを感じない。何が理由かは知らないけど、ふっかさんは絶対に俺が起きる前にベッドから抜け出す。

そして、必ず1本の煙草を蒸かしてる。

「…なぁんで毎朝来ちゃうかねえ、」

灰皿に押し潰しながら俺の方へ向ける瞳は自然光のお陰か、不似合いにハイライトが差し込まれていて。相も変わらず、隠し通すのが上手いな、何て他人事のように思ったりして。

「好きなんだよ、煙草吸ってる所見るの。」

ベランダの入口の窓に肩を預けて、見詰めてみれば雨特有の匂いが鼻腔を掠めた。ああ、今日は頭が痛くなりそう。

「そうは言ってもね、」

「副流煙は体に悪いんだから。」

昨晩、殺すだの何だの言っていた人の台詞では無いなとは思う。思うけど、数え切れない程繰り返したこの会話にきっと、もう意味など無いから。

「別に」

「ちょっと死期が近くなるだけでしょ。」

長生きに興味がある訳では無い。そもそも、皆より何年も後に産まれて、一生縮む事の無いこの歳の差を感じながら日々メンバーと過ごしている俺からすれば寿命なんて縮めば良いとさえ思う。

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