雲外蒼天

･ ページ26

･









「で、なーんでめめだけ片付けしてんの？」

「お、ラウ。さっきのシュート凄かったな」

「はいはいどーも、その後のパスでめめに取られたけどね」

「だってお前隙ありすぎなんだもん」




時間は過ぎていまは3時間目、体育の時間。ゴールデンウィーク前からの持ち越しで今日もサッカーをやったわけだけど、どういう訳かめめのチームの人はグラウンドに戻ってめめ一人が器具庫にて片付け中。




「てかお前早く戻らないと怒られるよ？」

「先生にめめの手伝いして来いって言われたの」

「え、ガチ？うわ待たせちゃってる感じ？」

「別に、他の人たちが何もせずに戻ってきちゃったから俺が名乗り上げただけだよ」




先生はあくまでも"めめのチームの人"に声をかけたはずだけど、みーんな知らんぷりで髪の毛弄ってたり友達とだべってたりしてたから俺がわざわざ手を挙げたの。




「手伝ってとか言えばいいのに」

「だって俺が1番ボールに触ったし、」

「それは皆がめめ任せでゲームしてたからでしょ？」

「そういう言い方すんなよ、頼られてんの嬉しいよ俺は。」

「事実でしょ、めめ以外全員後ろの方で話してただけじゃん」

「苦手なんだろ、女子とか特に。」

「…あっそ、別になんでもいいけど」




耐えきれずに溜め息をこぼした。めめがサッカーを楽しんでるのはいいけど、それを利用して全部をめめに押し付けてるのは違くない？




「ありがとな、お前のお陰で早く片付いたわ」

「……アイツらが居たらもっと早く終わったと思うけど？」

「おい、そういうこと言うなって」

「ま、どうせ全員役立たずだし居てもいなくても変わんないんじゃない」




被害者は俺じゃなくてめめなのに、なんだか無性に腹が立って八つ当たりしてしまう。そもそもめめがお人好しすぎるのがいけないんだよ、そんな言い訳を誰に言う訳でも無く心の中で永遠と垂れ流しながらグラウンドへ戻っていけばアイツらはまだ楽しそうにだべっていて、思わず大きな舌打ちをかましてしまった。









･

･→←5話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す