ネコ科の同居人 その2【文豪ストレイドッグス】

迷子と迷子 ページ28

Aside



進むにつれて、だんだん人とすれ違う回数が増えてきた。安心しつつも、本当に進んでいいのか、という不安が胸の中でぐるぐる回っていて、吐きそうになる。





「にゃー・・・」





道路の端に座り込む。会いたい。誰でもいいから知ってる人に会いたい。だが、周囲を見回しても知らない人しか歩いていない。





もう諦めてここで寝ようか・・・。そう考えて目を瞑ろうとした時だった。





「あれ？Aちゃん？」





聞き覚えのある、優しい声が降ってきたのは。





.





「そういえば敦君がAちゃんが迷子ですって電話してきたなぁ。僕もナオミとはぐれちゃったんだけど」





あはは、と笑いながら道を歩く谷崎さん。その腕に抱かれながら話を聴いていたが、どうやら谷崎さんも私も迷子らしかった。





ナオミさんと一緒に近くの喫茶店やら百貨店やらに行ったらしいのだが、人混みに揉まれ、途中で見失ってしまったらしい。





お互い迷子、というのが痛かったが、一人よりは心強かったし、全然寂しくなかった。





「一応敦君に連絡したけど・・・公園に来てって。公園ってどこだろうね。Aちゃん、わかる？」





「にゃ」





わからない。寄った覚えこそあるが、どこにあるかまでは覚えていない。





「そっかあ」





谷崎さんは笑いながら私の頭を撫でた。止まる気はないようで、時々私に話しかけながらすたすた歩いていた。

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