【d!】ご令嬢が思い出したので【軍パロ】

▽心機一転が目標 ページ31

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一食抜いただけなのに、朝にはスッカリ空腹を感じるこの体は潔いほど健康であった。


「おはようA」

『おはようございます、ひとらんらん様』

お風呂からの帰り道に出会ったのは、幹部の中でも早起きな白い軍人だった。
朝の挨拶もそこそこに彼は私に「具合は大丈夫？」と尋ねた。


『はい…？特に何ともありません』

「昨日の夕飯来なかったから。兄さん達はそっとしとけとか言うし……」

まだまだ伝え足りぬとばかりに言葉は続けられたが、要は心配してくれていたらしい。
昨日あるアドバイスを施してくれた人物の名に、思わず耳を傾けた。


「一旦、切り離して考えてみない？」

兄さんは私のウジウジとした考えも否定せず、かつ新たな思考を提案してくれた。
前世の彼への想いは捨てず新たな想いを受け入れるなど、1人では一生を使っても思いつかなかっただろう。


「寝て多少スッキリしたか？顔色が良くなってる」

『そうですね、スッキリ致しました』

「良かったよ…。一部の奴なんか自分が振り回した所為だとか何とか言って」

「ちょっ！！何でバラすねんひとらんッ！！！」

何処から出てきたのか、この感覚も随分久しぶりだ。
(恐らく)頭上から降って来た黄緑色の軍人は、ヅカヅカと大股でひとらんらん様に詰め寄った。


「何でって、コソコソ隠れて見てんのが悪ィんだよ」

「何も本人に言うことないやんけッ！！」

朝から随分大きな声が出るものだ、一頻り抗弁を垂れたゾム様は不意に振り返るとやや下唇を尖らせながら口を開いた。


「……ほんまに、オレが原因だったりせん？」

『ない……と思いますし、もう解決しましたから』

「どっちやねんな！」

あんなに心苦しかった気弱な彼も、此方の心境次第で可愛いものに見えるのだから現金だ。
がぁっと狼の吠えるような声で唸ったゾム様だが！私の表情から何かを察したのか見慣れた不敵な笑みを浮かべた。


「ひひっ、なら遠慮せずガンガンいくわ」

「ゾムは反省って言葉知ってる？」

「何やオレとやり合う自信ないんかぁ〜？？」

やり合うのは辞めて欲しい切実に。
そんな思いを込めて彼らを見つめれば「冗談やん」とゾム様は早口で弁解した。


『必ず期限までに答えを出しますので、どうかお待ち下さいませんか…？』

「勿論だよ」

「しゃーなしやで」

言い方は違えど2人は各々で首を縦に振ってくれた。
例え想い合う仲にならずとも、今は彼らに真っ直ぐ向き合う事が一番誠実な対応だと思うのだ。

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