▼静かな夕暮れに ページ30
ni_side
朝方から眠っていたらしい彼女は、長時間の睡眠をとったせいかボンヤリとしたまま俺が手を引くままに後ろをついて歩いて来ていた。
しんぺいに呼ばれた時は何事かと思ったが、結果的には俺が来て正解やったやろうな。
「具合は平気なん？」
『はい』
夕焼けの差し込んでアメジストの瞳に混じる。
何処か心有らずな様子にこれ幸いと、俺は疑問を投げかけてみる事にした。
「グルッペンから大体聞いたけど困ってるんやって？」
『いいえ、反対に私が困らせてしまっています』
「アイツらがそんな繊細やとは思わんけどなぁ」
キリッと毅然とした態度と話し口調だが、どこかションボリとした雰囲気を漂わせる少女に苦労してんだなぁと思った。
「(幹部全員に好かれとるなんてある意味大変やし)」
1人でも癖のある奴が10を越えている、ぺ神は外してもかなりの人数だ。
今の所は数も居ないし早めに結論を出した方が彼女の為でもあると思うが、賢いAがそうしないのは何か理由があるのだろう。
「アイツらの告白以前に何かあったり…？」
『な、それは…っ』
「どう？恋愛対象外の兄さんに相談してみぃひん？」
へらりと薄く笑って「俺、好きな子おんねん」と嘯けば彼女は迷ったように目を伏せたが、やがてポツポツと独り言と間違うような声色で話を始めた。
『好きな人が、いたんです』
「……いた、て事は今は違うん？」
『好き……かもしれません』
照れ屋な彼女の小さな口からそんな話が出てくるなど驚きだ。
茶を濁したAは、懐かしむような慈しむような表情をしていた。
「曖昧やね、ソイツと本当は付き合いとか？」
『ふふ、まさか……もう会う事すらないでしょう』
乾いた笑い方は実に彼女に似合わない。
普段なかなか本音を言わない子だったから気づきもしなかったが、ずっとその事で悩んでいたのだろう。
「Aはその人に会いたいん？」
『会えるなら……いえ、今やもう再会など不可能な事なのです』
「そう、残念……」
諦めを表したAにこれ以上追求する必要はない、俺は“安心枠”として彼女に助言をしてやればいい。
「……一旦、切り離して考えてみない？」
『えっ？』
「大切な人を無理に忘れる必要な無いと思う。
すぐには難しくても、その会えん彼とアイツらを一度切り離して考えてやってくれへんかな？」
私情混じりのアドバイスであったが、彼女は数度瞬きをした後に再会後1番の笑顔を浮かべて頷いてくれたのだった。
ラッキーゲーム
hoi
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奥山乃愛(プロフ) - niさんやsnさんにも愛されたいです（恋愛的に）無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年11月2日 16時) (
レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - モモさん» お祝いのコメント感謝申し上げます。途中更新期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。ご期待に添えたものであれば幸いです、これからも是非にお付き合いくださいませ。 (2019年11月30日 23時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - 続編おめでとうございます。リクエストの小説も楽しく読ませて頂きました。ありがとうございますm(_ _)m相変わらず言葉の言い回しが美しく素晴らしい作品だなぁと改めて思いました。冬は何かと忙しい時期になると思いますが、無理をしない程度に頑張って下さい(*^^*) (2019年11月28日 12時) (レス) id: 9f311d580c (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 猫夢さん» こんばんは、好きの一言が何より嬉しいので無問題です…。ありがとうございます。 (2019年11月24日 19時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
猫夢(プロフ) - 語彙力がないけど言いたいので失礼致します。好きです... (2019年11月21日 13時) (レス) id: e485f856c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年9月22日 15時
