▽城内の奇襲者 ページ23
・
護衛の方と沈黙しかない馬車に乗って帰路につく。
鬱様は一通り祭りの様子を紹介してくれた後に、
「そろそろ仕事せなトントンにど突かれるわ。じゃあまた城で」
と本来のお役目に戻られたのだった。
珍しい外国の品々にも目を奪われたけど、一番はあの旅芸人達だった。
『(また近いうちに見に行こう)』
「おや、おかえりなさいAご令嬢」
『ただ今戻りました』
城に戻ると門前にてエーミール様と出会った。
片手に紙の束を抱えた彼は、これから《櫻鏡園》についての話し合いがあるらしい。
「街の様子はどうでした？楽しめましたか？」
『はい、とても…。初めて見るものばかりでした』
「それは何よりです」
色素の薄い瞳を細めて笑うエーミール様に私もへにゃと笑って返した。
常に歳上らしい余裕を保つ彼は城の中で一番安心して話せる相手と言っても過言ではない。
「っと、引き留めてしまいましたね。では私はこれで」
『お仕事がんばって下さいませ』
月並みは言葉に嬉しそうに「はい」と返してくれた紳士は、大量の資料を抱え直して歩みを進めた。
私も自分の部屋に戻ろう、そう思い自室のある塔へと向かう。
『……へっ！！？』
絨毯の敷かれた廊下を進んでいると何処からともなく伸ばされた白い腕。
悲鳴らしい悲鳴を出す暇も無く、私は誰のものかも知らぬ部屋へと引きずり込まれたのだった。
『いっ……た、』
「A、痛いん？強く引っ張りすぎたかなぁ」
『ゾム様…？』
部屋に入れられると共に閉ざされた扉に体がぶつかり、肩に少しばかり痛みが生じた。
恐怖から目を瞑っていた為、犯人の顔は見えなかったが男性にしては少し高いその声には聞き覚えがあった。
『ゾムさま、手をお放し下さいませ』
「嫌や、放したら逃げるやろ」
『そんな……』
確かに最近は一部の人とどう接したら良いか分からず避け気味だったが、この状況で逃げられる筈ない。
扉に押さえつけるように拘束され、背の高い彼は態々腰を屈めて額がくっつきそうな程顔を近づけてきていた。
「なんでオレの事避けるん、他の奴には普通にしとんのに」
『避けてるわけでは…！』
「嘘、嘘や、そんなん」
ぐっ、と更に寄せられた口元は私の首を食む、前にも同じ事があったのに私も大概学習能力がない。
ピリとした感覚が皮膚を襲うと彼は満足気に笑い今度は耳元へと唇を寄せた。
クツクツと吐息混じりの笑い声が耳から入り込んで、ゾクリと背筋が震えるのを感じた。
ラッキーゲーム
hoi
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奥山乃愛(プロフ) - niさんやsnさんにも愛されたいです（恋愛的に）無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年11月2日 16時) (
レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - モモさん» お祝いのコメント感謝申し上げます。途中更新期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。ご期待に添えたものであれば幸いです、これからも是非にお付き合いくださいませ。 (2019年11月30日 23時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - 続編おめでとうございます。リクエストの小説も楽しく読ませて頂きました。ありがとうございますm(_ _)m相変わらず言葉の言い回しが美しく素晴らしい作品だなぁと改めて思いました。冬は何かと忙しい時期になると思いますが、無理をしない程度に頑張って下さい(*^^*) (2019年11月28日 12時) (レス) id: 9f311d580c (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 猫夢さん» こんばんは、好きの一言が何より嬉しいので無問題です…。ありがとうございます。 (2019年11月24日 19時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
猫夢(プロフ) - 語彙力がないけど言いたいので失礼致します。好きです... (2019年11月21日 13時) (レス) id: e485f856c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年9月22日 15時
