▽二度目の犯行 ページ35
・
ショーが始まって優美な娘達が舞い踊る中、私は1人背中に冷汗が流れるのを感じた。
人混みの中枢に立って物見をしていると不意に腰元に当たる鋭い感触。
幸か不幸か私はその正体に覚えがあった。
『(ナイフ当てられてる…！)』
犯人を確認しようにも背後を取られている為に顔を見る事は出来ない、そもそも確認した所で私になすすべなど無い。
『(護衛の人、は気づいてないな)』
私が大して移動もせずただ彼女たちを眺めているだけだと知っている軍人達。
彼らは先程までの私と同じく、妖艶にリズムを踏む踊り子に意識がいっているようだった。
『なんのおつもりで？』
「黙ってろ。付いて来い」
嗚呼、会話すらしてくれないようだ。
此処で悲鳴でも上げれば護衛たちは気付くだろうが、リスクが高すぎる。
ターゲットが彼女達に変わってしまう可能性もある、犯罪者は往々にして自分より弱い者しか狙わない。
依然として背後に命を脅かす刃を感じながら、犯人らしき男に腕を引っ張られ人混みから離れていった。
「ッはは！思ったより簡単に言ったな」
「な！踊り子じゃなくてコッチで正解だったろ？」
男が足を止めたのは荷物を運ぶ馬車のような乗り物の前であった。
そこには仲間らしき別の男が下卑た笑みで私たちを待ち構えていた。
短く雑破な髪に浅黒く焼けた筋肉質な男は、自分の姿を隠す事もなく私と対峙していた。
ここで漸く刃物を所持していた男の目視する事が出来た、赤茶の髪でもう1人と比べるとやや細いがガタイのよい男だ。
『(運送関係か……この国の人じゃなさそう)』
「どうしたァ？怖くて声も出ねぇか？」
「ほら、手ェ出しな嬢ちゃん」
怖いというのは事実だった、ただ人は極度の恐怖を感じると返って冷静になったりするもので。
短髪の男に腕を荒縄で後ろに縛られながら、私はいかにして自分の生存率を上げられるか考えていた。
『(ちょっと恨むよ、護衛さん……)』
「髪が青いな、ヴェネマーレアの生まれか」
「かもな。しかしこの街に若い娘がいたとはな」
……はい？
ヴェネマーレアの生まれどころかそこの王女である。
この街にと語る彼らは、どうやら私の素性を知らないらしい。
「お前逃げようなんて考えんじゃねぇぞ」
『……』
赤茶髪に睨まれて私は無言で頷く。
この手の輩は刺激してはいけない、こちとら誘拐は2回目である。
きっと状況がわかれば1度目の誘拐犯達が動いてくれる筈だと、私は縛られた手に力を込めた。
ラッキーゲーム
hoi
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奥山乃愛(プロフ) - niさんやsnさんにも愛されたいです（恋愛的に）無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年11月2日 16時) (
レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - モモさん» お祝いのコメント感謝申し上げます。途中更新期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。ご期待に添えたものであれば幸いです、これからも是非にお付き合いくださいませ。 (2019年11月30日 23時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - 続編おめでとうございます。リクエストの小説も楽しく読ませて頂きました。ありがとうございますm(_ _)m相変わらず言葉の言い回しが美しく素晴らしい作品だなぁと改めて思いました。冬は何かと忙しい時期になると思いますが、無理をしない程度に頑張って下さい(*^^*) (2019年11月28日 12時) (レス) id: 9f311d580c (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 猫夢さん» こんばんは、好きの一言が何より嬉しいので無問題です…。ありがとうございます。 (2019年11月24日 19時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
猫夢(プロフ) - 語彙力がないけど言いたいので失礼致します。好きです... (2019年11月21日 13時) (レス) id: e485f856c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年9月22日 15時
