第十三話 ページ13
階段を下ろうとした彼女の背中は、一瞬で消えた。
その先で、甲高く響く女子生徒の金切り声。
まさか。
慌ててカバンを持ち、教室から出た。
一歩手前で踏みとどまって、恐る恐る階段下を覗くと、青原さんが頭から血を流して倒れているのが見えた。、肘や膝が、あらゆる方向へ折れ曲がっている。
「やば！ヤバいって！」
「誰か先生呼んできて！」
各々が職員室へ向かう中、複数の生徒がスマホを取り出した。
「うっわ、やべー、マジグロ」
「これ載せたら垢バンくらうかなあ」
動かなくなった青原さんを囲って、写真や動画を撮り始めた。
異様な光景だ。スマホを構えながら、彼らの口元はつり上がっている。
…彼女も、こんな顔で私を撮っていたのだろうか。
何も考えたくなくて、無我夢中で廊下を走った。
別階段を駆け下りて、乱暴に靴を履き替えて、慌ただしく駅へと向かう。
そこからの記憶はない。駅からどう帰って来たかも朧気な記憶でしかない。人生最大の虚無の時間を過ごした。
気付けば私は玄関にいて、震える手で靴を脱いで、自室のベッドに頭まで深く潜り込んだ。
下では叔母さんが「大丈夫ー？」と呼ぶ声が聞こえるが、返事をする気力もない。
引き取り手が見つからない私を向かい入れてくれた人だ。そんな恩人の叔母さんにさえ今は言葉一つ返せないほど、すっかり疲弊していた。
「スッキリしたか？」と聞き馴染みのある声。
「まさか、あそこまでとは。想像以上だぞ、お前。」
「やっぱ…事故じゃなくて、悪魔の能力だったんだ」
布団に潜ったまま、くぐもった返答をした。
「あれは何だったの」
「簡単だ。お前に精神的、それか肉体的に危害を加えた対象へ報復する力が働いたんだ。」
「つまり、あれがやり返し…復讐する力ってこと？」
「そうだな」
「あんな簡単に発動されちゃうんじゃ困るよ…」
「私も予想外だ、お前があんなに発動を強化できるなんて。通常なら有り得ない威力だ。才能あるぞ、お前。」
「嬉しくない」
「お前に強い危害を加えれば加えるほど、またはお前が憎いと強く思えば思うほど�猊�讐�瓩箸靴篤�く力は大きくなってゆく、つまり」
「…つまり？」
布団から顔を出す。
ムメイは一つ咳払いをし、改めて口を開いた。
「つまり、チェンソーマンを確実に仕留められる」
「……それは、かなり」
布団から出て、ムメイと向き合い「…魅力的。」と零した。
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不束者 - 続きが楽しみです！ (2023年1月13日 11時) (
レス) id: be5aa01d07 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸 - 最高ですにゃ、、、 (2022年12月16日 7時) (レス) @page28 id: 397365c42d (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - レイさん» ふっふっふ…( ΦωΦ ) お楽しみですね…ふっふっふっふ… (2022年11月29日 19時) (レス) @page27 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
レイ - もしかして第2話のチェンソーマンって偽物か、、、、？と予想。あ、すんません急に、、、めっちゃ面白く読ませてもらってます。 (2022年11月29日 0時) (レス) id: 5efbcb8518 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 時雨さん» デンジ君は基本犬みたいにチョロくて可愛いイメージがあるので、私の解釈で土下座まで持ち込んでみました(´∇`) 夢主ちゃまとデンジ君の絡みはこれからドンドン親密にする予定です！お楽しみにしてください！🫶🏻 (2022年11月25日 19時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんのんた | 作成日時：2022年11月16日 0時
