第十二話 ページ12
「え…？」
カバンへと伸ばした手が固まった。
振り返ると、青原さんは閉ざされたドアの前で薄ら笑いを浮かべている。
「やー最初は、あの車めっちゃ悪魔に追われてるなーって思ってたら車からAサン飛び出てくんだもん！めっちゃ焦ったよねぇ」
まるで面白かった映画の感想を語るように、彼女は続けた。
「チェンソーマンが来てたから慌てて動画撮っちゃったよ。めっちゃアツかったよね、あの展開。あ！熱かったのはAサンのパパママか〜！車がボーッて！あの時の顔マジウケた！はははっ！あー死ぬ！はは！お腹痛い！」
何を、言っているんだろうか。
青原さんは確かデビルハンター部所属の子だ。
この学校では、悪魔を狩る組織として活動している部活がある。その中に彼女は含まれていたはず。そんな子の発言とは到底思えない。
「動画、撮ってないで…助けられなかったの…？」
「あー、デビルハンター部入ってるって言ってもさ、救助は強制じゃないから。それにあの時はセーリ前でダルかったし。」
言葉を失った。ダルかったから、と言う理由で、チェンソーマンが来ることになったんだ。めちゃくちゃになったんだ。
一分、一秒でも早く、彼女が助けてくれたら。その隙に両親を救い出せたかもしれない。彼女が苦戦しても、どうせ数秒後にはチェンソーマンが助けてくれたんだろう。
そうすれば、その場での死者は出なかった。
…にも関わらず動画を回し、SNSにアップし、チェンソーマンへの賞賛の声を膨れ上がらせたんだ。
私の傷は彼女が載せた『動画』によって、永遠に消えない最悪の瞬間を世間に晒されたのだ。
「あんなバズるとは思ってなかったしねえ。チェンソーマンが助けたヒロイン様！って有名だよ。」
「私の、お父さんとお母さん、あの車の中で死んでるんだよ…？」
「で？アンタは生き延びれたじゃん。ハイ生きててヨカッタネー」
「あっ…な、んで…」
何を言っても、自分の気持ちを伝えられないのが悔しかったし、彼女の行為自体も対応も腹立たしかった。
涙が溢れて、思うように話せない。
這い上がってきた言葉は、喉に締め付けられ留まった。
「えー泣くなよ、ウザ。過ぎたことなんだしさ。悔やんでても仕方ないじゃん」
人としての感情や道徳心が欠如している発言に、核が弾けたように怒りで頭が真っ白になった。
「ダル、ウチ帰るわ」そう言って出て行った背中に堪らず言い放った。
「…落ちろ」
刹那、「ギャ」と短く上がった悲鳴。
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不束者 - 続きが楽しみです！ (2023年1月13日 11時) (
レス) id: be5aa01d07 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸 - 最高ですにゃ、、、 (2022年12月16日 7時) (レス) @page28 id: 397365c42d (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - レイさん» ふっふっふ…( ΦωΦ ) お楽しみですね…ふっふっふっふ… (2022年11月29日 19時) (レス) @page27 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
レイ - もしかして第2話のチェンソーマンって偽物か、、、、？と予想。あ、すんません急に、、、めっちゃ面白く読ませてもらってます。 (2022年11月29日 0時) (レス) id: 5efbcb8518 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 時雨さん» デンジ君は基本犬みたいにチョロくて可愛いイメージがあるので、私の解釈で土下座まで持ち込んでみました(´∇`) 夢主ちゃまとデンジ君の絡みはこれからドンドン親密にする予定です！お楽しみにしてください！🫶🏻 (2022年11月25日 19時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんのんた | 作成日時：2022年11月16日 0時
