背伸びの唄 (ページ16)

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かページ16

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帰るとすぐにすばるくんは煙草吸おうと俺をベランダに呼んだ。

そんなこと今までになかったからなんかドキドキしたりして、ベランダに出る。

「どしたん、一緒に吸おうなんて。」

「ああ、うん、あのさ、」

とすばるくんは右のポケットからゴソゴソと何かを取り出し俺に渡す。

「何？」

「プレゼント。あげる。開けて。」

丁寧に包まれたソレをすばるくんが真っ直ぐ見つめてくるなか開ける。

中には俺があげたのとお揃いのRyo.Nと筆記体で書かれたジッポが入っていた。

「これ.....」

「亮もそれ欲しがってたから。昨日買いに行って、でもなんかそのー、名前入れるのとかに結構手こずってさ。あの時間なってもうてん。」

俺はソレを聞きながら泣きそうになるのを必死に堪えた。

「あ、でも、俺のジッポどっかに忘れてもたみたいで、せっかく貰ったのに....」

そう言いながら襟足を掻くすばるくん。申し訳ないの合図。その癖に今はそう確信出来る。

そして、ポケットから俺も彼のジッポを取り出して彼に渡した。

「ちょ？！え？！」

「ごめん、昨日から持ってた。」

「なんやねんもう！！言えや！俺ほんまに焦ったんやからな！！！これ宝物やねんぞ！」

そう聞いた途端堪えてた涙は一気に溢れて止まらなくなって気付いたらすばるくんを抱き締めてた。

「お前泣きすぎや。」

「すばるくんのせいですよ。」

そしてすばるくんは精一杯の背伸びをして

「はいはい、亮ちゃん。よしよし。」

と俺の頭を撫でた。

凄く嫌だったこの行為も彼の背伸びのおかげで愛おしくて堪らなくて、幸せだと思えた。

子供扱いされんのも悪くないかも。

(完)

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