ふしぎ星の☆みつご姫～Return1～ (ページ2)

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1話～少女の名～ページ2

おひさまの国、城下町の路地裏をチロチロと流れる人気のない小川。
水流に建物の隙間から微かに溢れる日光が当たり、薄暗い路地裏のあちこちに反射している。
　その小川を素足で歩く少女が一人。
ベージュのローブを纏い、そのフードを深く被っていながらも、動く度に薄桃色の長い髪が見え隠れしていた。
　少女はただ足を水に浸して涼んでいる、という様子ではなく、川の底をじっと見つめて何かを探しているようだった。
ふと立ち止まり、ローブが濡れないよう屈まずに手を伸ばして、川の底を漁り始める。
　水から手を出した少女の手の中には、親指の爪ほどの大きさの半透明な緑色の小石があった。
そして岸辺へと歩きだし、綺麗に揃えられた靴の側に置いてあった鞄から、空の小瓶を取り出す。
キュポッと蓋を開け、先程取った小石を入れてそれを力強く閉めた。

「うん、綺麗」

　それまで終始無言だった少女が、小瓶を覗きながら小さく呟く。
これが目当てだったようで嬉しそうに口元を緩ませ、暫くボーッと小瓶を見つめていた。
　しかし、ゴーンと国中に響きわたる11時を知らせる鐘が聞こえ、少女は肩を震わせた。

「えっ、11時……?!」

　足をろくに拭かずに靴を履いて、乱暴に小瓶を鞄へ詰め込み、勢いよく走り出していく。
どうやら少女は予定があるらしく、凄い速度で走っていくことから、余程大切な予定と見受けられる。
　路地を抜け、人通りの多い道を手慣れたように器用に縫って走っていく。
風圧によって、深く被っていたフードが一瞬持ち上がる。
そこから見えたのは、薄桃色の髪に大きな紫の瞳を持つ、焦りの表情を浮かべた可愛らしい顔だった。

　彼女の名はシャイン。
おひさまの国のみつご姫の末っ子である。

《作者から》
題名付けるの難しすぎない?
ということで、題名は基本適当です。