検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:81,720 hit

28話 ページ28

先日麻奈ちゃんに晴の想いがバレてしまってからというものの。
私達の下校時間は晴の話で持ちきりになっていた。


「え、じゃあ四年間も片想いしてるってこと?!」


 私が晴の話をする度に、随分と麻奈ちゃんがイキイキして見えるのは気のせいだろうか。
そう思いもしながら、私は小さく返事をする。


「まぁ……そうなるかな」


「二次元大好きな実久留をそんなに長い間惚れさせる武田くん……脅威的過ぎる」


 それからブツブツと呟き続ける麻奈ちゃんを横目に、確かに二次元ラブなのによくこんなに続いてるなぁとか、思ったりもした。
 別に特別頭が良いって訳でもないし、運動が得意でもない。
ただゲーム好きで身長が高くて、口が悪くて、性格も一般的に見ればかなり最悪な方で…。
でもその全部が大好きだった。


「実久留!」


「えっ?!あ、なんでしょう!!」


 どうやら先程から何度も呼び掛けてくれていたらしく、返事をした途端重い溜め息をつかれてしまった。
ごめんと言う前に麻奈ちゃんが口を開く。


「なんであの日私に嘘までついて、武田くんと帰ったの?」


__やっぱそうなるよなぁ。

 麻奈ちゃんには嘘をつけない。
自分で言うのもなかなか辛いものだったが、正直に言おうと少し顔を逸らしながら、私はこう言った。


「告白……しようと思ってね」


 結局出来なかったけど、と乾いた笑みを浮かべてそう言うと、麻奈ちゃんはやってしまったと言わんばかりに、焦りの表情を漏らした。
ごめんと謝る彼女を背に、声を張り上げた。


「でも、もういいんだ。私が告白したところで、晴には私じゃない別の好きな人がいるんだし」


 視界が滲みかける中、上を見上げるとオレンジ色の空が広がっていた。
あの日よりはオレンジじゃないな、ふとそう思ってしまった自分が嫌になる。

私はもう下手な真似はしない。
この現状が一番いいのだから。

 麻奈ちゃんが何かを言っているが、私はそれを無理矢理終わらせようと、笑顔を浮かべる。


「はい、この話は終わり!あ、そうだ。今度一緒に遊ぼうよ麻奈ちゃん」


 彼女の顔は何か言いたげだったけど。
私は知らないふりをした。

29話→←27話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
92人がお気に入り
設定タグ:名前変換オリジナル , 中学生   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

フルーツちょこ(プロフ) - コノハ【心葉】さん» ありがとうございます。本日全話修正をして誤字脱字や、文章の訂正をしましたので、もう一度読んでくださると嬉しいです。 (2018年11月30日 19時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 楽しみです! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 17d56b6dae (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 水瀬さん» 楽しみと言っていただけてありがとうございます。私も更新頑張りますので、これからの物語もどうぞお楽しみに下さい。 (2018年10月23日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - お話とても面白いです!続きもすごく楽しみになりました!更新頑張ってくださいね! (2018年10月20日 16時) (レス) id: db4b643399 (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 抹茶モナカさん» 応援のメッセージありがとうございます。最近学業が忙しいため、更新をあまり出来ていませんが、近いうちにもう一話更新したいと思います。コメントありがとうございました。 (2018年10月12日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みくるみちょこ | 作成日時:2018年6月3日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。