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27話 ページ27

告白実行に失敗してから、数日後。
私はいつものように、部活終わりに舞ちゃんと一緒に帰っていた。
勿論、悲しみは抜けきる訳も無く、私は空元気で過ごしていたが。

そんな時、それは起こった。


「ねぇ実久留……」


 そう呼び掛けられ、麻奈ちゃんの方へと顔を向けると、そこには少し頬を赤めた彼女の姿が。
珍しいと思いながら、どうしたの?と言うと、彼女はよりいっそう顔を赤くさせた。

 一体何が彼女をこんなにまで赤くさせているのか。
考えてみるものの、先に彼女が口を開いた。


「えっと……好きな人が出来たの」


 思わず顔がひきつりそうだ。
今の私には辛い内容だが、悟られる訳にはいかない。
 無理矢理口を動かし「え、誰誰?!」とワザとらしく言ってみる。
すると、教えるの実久留だけだからねと恥ずかしそうに言い、私の耳元に顔を近付けた。









「武田くん」


 なんて言ったのか、聞き返したかった。
空耳だって信じたかった。
嘘だって信じたかった。

 けれど頭では理解している。
嫌な汗があらゆる毛穴から出るようで、気持ち悪い。


「あ……あー最近話に出てたもんねぇ」


 声の震えが押さえきれない。
私は今までどうやって押さえていたのか。
それすらも分からない。

どうしよう。
苦しい。
痛い。
悲しい。

 せっかく晴への想いが、どれだけ大きいか知ったのに。
やっぱり私に告白だなんて無理なんだ。

 そう思考は駆け巡り、知らずのうちに頬が濡れていた。


「……やっぱり」


 バッと顔を上げると、そこには麻奈ちゃんの優しげな顔。
先程までの恋する女の子の顔では無くなっている。

 なんで、そう声にすることも出来ず私は口をパクパクと動かす。
すると麻奈ちゃんは私の心を見透かしたように、話を始めた。


「最近アンタの様子が可笑しかったから、アンタの友達とかクラスに沢山聞き回ったの。
そしたらアンタが用事があるって言って、私と帰らなかった日に武田くんと帰っているのを見たっていうヤツが居て。

何でって本当に思った。アンタに武田くんの話をしても、いつも聞いてるだけだったから。同小でもあんまり話さない仲だったのかって勝手に思ってた。

でも違った。凄く仲が良くて、付き合ってるみたいだったってアンタの小学校の人は、皆言ってた。

こんな形を取ってごめんね。でも、こうしないと言ってくれないと思って。

ねぇ実久留。
武田くんのこと好きなんでしょ……?」

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作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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フルーツちょこ(プロフ) - コノハ【心葉】さん» ありがとうございます。本日全話修正をして誤字脱字や、文章の訂正をしましたので、もう一度読んでくださると嬉しいです。 (2018年11月30日 19時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 楽しみです! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 17d56b6dae (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 水瀬さん» 楽しみと言っていただけてありがとうございます。私も更新頑張りますので、これからの物語もどうぞお楽しみに下さい。 (2018年10月23日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - お話とても面白いです!続きもすごく楽しみになりました!更新頑張ってくださいね! (2018年10月20日 16時) (レス) id: db4b643399 (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 抹茶モナカさん» 応援のメッセージありがとうございます。最近学業が忙しいため、更新をあまり出来ていませんが、近いうちにもう一話更新したいと思います。コメントありがとうございました。 (2018年10月12日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みくるみちょこ | 作成日時:2018年6月3日 20時

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