お兄ちゃん 6【東京リベンジャーズ】 (ページ47)

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第286話ページ47

「ねぇ、知ってる？今日は卒業式の予行練習ってこと。

だからもうここには誰も来ないってことを、Aちゃんは知ってた？」

音楽室に閉じ込められた私は、すでに恐怖に脅かされていた。

『来ないでっ……』

一刻も早く逃げたいのに足が竦んで動けない。

そして恐怖が体全体を支配し始めて、力まで入らなくなっていった。

そんな私は大西くんにとって都合がよかったらしく、手を後ろで拘束された。

ご丁寧に、左手を怪我しているからと肘あたりを紐のようなもので結んで。

出入口も窓も閉められていて密閉状態の空間に男と女が1人ずつ。

まるであの日のようだった。

「フッ……怯えてるAちゃんって可愛いよね。

そして可哀想でもあるAちゃんに俺はね、昔から君に恋心を抱いていたんだよ」

『っ……』

声をはりあげて助けを求めても、みんなは体育館。

体育館から1番遠いこの場所(音楽室)はきっと誰にも見つけて貰えないのは分かりきっていた。

これは悪い夢だっ……

違う、現実なんかじゃないっ……

ゆっくりと首を横に振り私に近づく大西くんを拒んだ。

「……Aちゃん、“鉄太に無理やりマイキーくんと別れされられた”もんね。

Aちゃんの“お兄さんたちも捕まった”みたいだし？

吉野にももう構われてないんだろ？

誰からも愛される人がいないなんて本当、可哀想すぎるよ。」

『……は、』

……大西くんは今、なんて言った、？

鉄太…？

お兄ちゃんが捕まった…？

みんなが知らなかったお兄ちゃんの存在のことをなんでこの人が知っているのだろうか。

思わぬ発言に思考を停止させていると大西くんはクスリと笑った。

「なんで知ってるのって顔してるね〜笑

いいよ、教えてあげる！でも特別だよ〜？」

ぐいっと顔を近づけ、気味悪く笑った大西くんは口を開いてこう言った。

「だって、俺……

＿＿＿＿＿＿鉄太の“従兄”兼“元天竺”なんだもん。」

ドクンッ

ドクンッ

ドクンッ

そう、大きく心臓が飛び跳ねるのが分かった。