お兄ちゃん 6【東京リベンジャーズ】 (ページ40)

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第279話ページ40

3月11日

『…行ってきます』

母「行ってらっしゃい…気をつけてね、？」

『…うん』

一昨日から放心状態でまともにご飯も手をつけられなかった。

まるで魂が抜けたかのように。

こんなので私はほんとにちゃんとできるのかな…

でも時間は過ぎるだけ。

それは痛いほどつい最近分かった。

お守り代わりだった佐野くんから貰ったペンダントのブローチ部分も無くなってて、もうショックを通り越して何とも言えない。

どんな顔して、みんなに会えばいいのか。

ましてや、私なんかがノコノコと学校へ行っていいのか？

エマちゃん大丈夫かな…

佐野くんは私の事、どう思っているんだろう…？

武道くん、もう私なんかに構わないよね…

華弥ちゃんはどうして最後まで私の傍にいてくれたんだろう…？

龍宮寺くんも、私の事警戒するだろうな…

そう思い考え込むからこそ、気分は更に憂鬱になってしまう。

……あぁ、学校行きたくないな。

母「A！」

『…？』

玄関を出て数歩歩いたところでお母さんに呼び止められる。

クルっと振り返れば優しく笑ったお母さんがいた。

母「きっと大丈夫！上手くいく！

……それにね、お母さんはAの落ち込んだ顔じゃなくて、笑った顔の方が好きだな！」

“「なぁ、俺さ、お前の泣いてる顔より笑った顔の方が好きなんだけど？笑」”

お母さんの言った言葉は、蘭お兄ちゃんの言葉と重なった。

“Aは笑った方が好き”

…いつもならそれを嬉しく思うだろうに、

今の私にとってその言葉は呪いの言葉のように思った。

お母さんなりの励ましなんだろう。

それなのに、そんな風に思ってしまう私は最低ですか……？

『うん…！』

でも、笑わなきゃ…

心から、ちゃんと笑わなきゃ…

笑って、誰も心配しないように…

＿＿＿心苦しくなっていく。

コンクリートのような重りが心を押し潰されるように積み重なる。

そして思う。

あぁ……また仮面(・・)を被ってしまうのかな…

＿＿＿＿＿＿と。