お兄ちゃん 6【東京リベンジャーズ】 (ページ23)

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第262話ページ23

蘭「ババアは昔から男に目がなかった。簡単に言うならめんくいってやつ。

他の女を潰してまで男を獲るぐらいに女に嫌悪を抱いていた。それは自分の子供に対してもだった。」

『っ…』

蘭「何があってそうなったのかは知らねぇけどな。

…第1子と第2子、つまり俺と竜胆が産まれた。

男として生まれた俺らは、うぜぇぐらい可愛がられた。

…今思うと吐き気するけどな。

もちろん、親父もちゃんと俺らのことを愛情注いで育ててくれたよ。

でも…第3子、つまりお前のことだ。

女だとわかった瞬間、ババアは中絶しようと考えてたそうなんだ。

でも、それを引き止めたのが親父だ。」

『そんな……』

でも、何となくそんな気はしたと思う。

母さんは表面はいい顔をしていたけど、裏では女の人の悪口が絶えていなかった。

腹いせなのかそのせいで何度も殴られたこともあった。

いつもいつも、「お前のせいでめちゃくちゃだ…！！」と怒り狂ったように豹変して。

蘭「赤ん坊の頃はご飯、お風呂、遊び相手…身の回りの世話は親父にしてもらって、お前はすくすく育っていった。

けど、物心が着いて自我が芽生える寸前、ババアは突然言っんだ。

「あいつの世話をするな。相手にするな。いない存在として扱え。

じゃなきゃ、あいつを私のサンドバッグにする」って。

今まで可愛がってた愛娘をそんな苦しい思いさせまいと、始めは親父は必死に堪えていた。

まぁでも、ババアがそんな事守るはずもなく手を挙げたらその都度辞めてくれって言ったそうだけど、無駄だったらしい。

そして、日々の行いに限界が来た親父はとうとう精神的な病を患った。」

『病…？』

蘭「まあまあな難病だったはず…

離婚する際は俺たちを引き取りたかったそうだけど、いつどんな症状が出るか分かんねぇ。

そうなった場合、俺らに負担がかかることを目に見えていた親父は、まだ7歳だった俺だけに本当のことを伝えて出て行ったんだ。」

まさかの事実に頭の中が混乱する。

…私は今どんな顔をしている？

流していた涙は引っ込み、目を見開いて、全身の力が抜けるような間抜け顔だろう。

蘭「…だからと言って、お前は恨んでもおかしくない。

存分に俺の事を恨んでくれってな。」

……何、それっ…

口の中がほのかに鉄の味がした。