検索窓
今日:10 hit、昨日:8 hit、合計:136,109 hit

第260話 ページ21

『…グスッ……ヒクッ…』





蘭「一旦泣きやめ、な?苦しいだけだぞ」





『ごめんっ…なさいっ…』





蘭「…謝んなくていいから」








泣きじゃくりながら私は謝る。





呆れたように蘭お兄ちゃんはそう言って、私が落ち着くのを待ってくれた。









蘭「…謝るのは俺の方だから、お前はもう俺には謝るな。」





『蘭お兄ちゃんがっ…謝ることなんか、ない…全部っ…私のせい…、だからっ…私がっ…悪いから、…ごめん、なさいっ……ヒクッ』






あぁ、もうやばい。






蘭お兄ちゃんと話してるだけで嬉しさと悲しさが倍増して、せっかくさっき止まった涙がまた溢れ出てきた。










蘭「…なぁ、俺が今から話すことは、今までお前に言ったことないことなんだけどさ。





…聞いてくれるか?」







『っ!…聞いたらっ…お兄ちゃん、行っちゃうっ…そんなの、やだ…!絶対、聞きたくないっ…!』







蘭「…行かねぇよ。服でもなんでも掴んでていいから。」









そう言って私に1歩2歩近づいてきて、体を前のめりに出て来る。






私は控えめに左手で服の裾を掴んだ。







蘭「1つは親父のことで、もう1つはあの日のこと。」







『っ…』








華「…あの日?」







やだ…





聞きたくない…






聞けないっ…









震えた手が無意識に耳元へと動いていた。






蘭「頼む、聞いてくれ。」







蘭お兄ちゃんはいち早くそれに気がついて私を言葉で静止させた。








『…ごめ、なさ…ぃ』






私がそう言えば「…まーた謝りやがって、笑」と、困ったように笑って私を落ち着かせてくれた。








蘭「…聞いてくれるか?」






『…』コクコク







本当は聞きたくないけれど、蘭お兄ちゃんの前では聞き分けのいい子でいたかった。






私が大人しくなったことを確認したお兄ちゃんは、限られた時間の中でもゆっくり丁寧にと話し始めた。








蘭「まず親父のこと。…A、お前は親父のこと嫌いか?」








『…嫌い……大っ嫌い…!』








そう…父さんなんて母さんの二の次に大っ嫌いだ。








母さんに対して何も言うことなく、見て見ぬふりの繰り返し。









そんな人を、好きになるなんておかしな話だ。






蘭「……親父が出て行く前、俺に言ったことがあるんだ。」










でもどうしてなんだろう…












蘭お兄ちゃんがそこまで切なそうな表情をするなんて…

第261話→←第259話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (171 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
943人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

モチモチ(プロフ) - シオンさん» お楽しみに〜って感じですね! (2022年7月16日 21時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - モチモチさん» 絶対出番ありでしょう〜〜(*゚∀゚*)そこで飛び蹴り〜〜 (2022年7月15日 17時) (レス) @page48 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチ(プロフ) - マイキー出番あり……かも???笑 (2022年7月12日 19時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - マイキーはよ〜〜助けてやって〜〜 (2022年7月11日 22時) (レス) @page45 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチ(プロフ) - 沙耶さん» ハッピーエンドになります!させます!!笑 はい、ありがとうございますっ☆ (2022年7月11日 22時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:モチモチ | 作成日時:2022年5月21日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。