第260話 ページ21
『…グスッ……ヒクッ…』
蘭「一旦泣きやめ、な?苦しいだけだぞ」
『ごめんっ…なさいっ…』
蘭「…謝んなくていいから」
泣きじゃくりながら私は謝る。
呆れたように蘭お兄ちゃんはそう言って、私が落ち着くのを待ってくれた。
蘭「…謝るのは俺の方だから、お前はもう俺には謝るな。」
『蘭お兄ちゃんがっ…謝ることなんか、ない…全部っ…私のせい…、だからっ…私がっ…悪いから、…ごめん、なさいっ……ヒクッ』
あぁ、もうやばい。
蘭お兄ちゃんと話してるだけで嬉しさと悲しさが倍増して、せっかくさっき止まった涙がまた溢れ出てきた。
蘭「…なぁ、俺が今から話すことは、今までお前に言ったことないことなんだけどさ。
…聞いてくれるか?」
『っ!…聞いたらっ…お兄ちゃん、行っちゃうっ…そんなの、やだ…!絶対、聞きたくないっ…!』
蘭「…行かねぇよ。服でもなんでも掴んでていいから。」
そう言って私に1歩2歩近づいてきて、体を前のめりに出て来る。
私は控えめに左手で服の裾を掴んだ。
蘭「1つは親父のことで、もう1つはあの日のこと。」
『っ…』
華「…あの日?」
やだ…
聞きたくない…
聞けないっ…
震えた手が無意識に耳元へと動いていた。
蘭「頼む、聞いてくれ。」
蘭お兄ちゃんはいち早くそれに気がついて私を言葉で静止させた。
『…ごめ、なさ…ぃ』
私がそう言えば「…まーた謝りやがって、笑」と、困ったように笑って私を落ち着かせてくれた。
蘭「…聞いてくれるか?」
『…』コクコク
本当は聞きたくないけれど、蘭お兄ちゃんの前では聞き分けのいい子でいたかった。
私が大人しくなったことを確認したお兄ちゃんは、限られた時間の中でもゆっくり丁寧にと話し始めた。
蘭「まず親父のこと。…A、お前は親父のこと嫌いか?」
『…嫌い……大っ嫌い…!』
そう…父さんなんて母さんの二の次に大っ嫌いだ。
母さんに対して何も言うことなく、見て見ぬふりの繰り返し。
そんな人を、好きになるなんておかしな話だ。
蘭「……親父が出て行く前、俺に言ったことがあるんだ。」
でもどうしてなんだろう…
蘭お兄ちゃんがそこまで切なそうな表情をするなんて…
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モチモチ(プロフ) - シオンさん» お楽しみに〜って感じですね! (2022年7月16日 21時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - モチモチさん» 絶対出番ありでしょう〜〜(*゚∀゚*)そこで飛び蹴り〜〜 (2022年7月15日 17時) (レス) @page48 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチ(プロフ) - マイキー出番あり……かも???笑 (2022年7月12日 19時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - マイキーはよ〜〜助けてやって〜〜 (2022年7月11日 22時) (レス) @page45 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチ(プロフ) - 沙耶さん» ハッピーエンドになります!させます!!笑 はい、ありがとうございますっ☆ (2022年7月11日 22時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モチモチ | 作成日時:2022年5月21日 21時