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第257話 ページ18

武道くんと龍宮寺くんの影が見えなくなる。








自分の手を見てみれば、冬なのに滲み出る手汗と共に、尋常ではないほど震える指先。














私のせいで、イザナさんが死んでしまった。













蘭「フゥー………悪ぃ大将。感情任せに身勝手なことして、大将の最後、見届けられなかったわ。」










蘭お兄ちゃんは申し訳なさそうにイザナさんの元へ行き、そう謝る。








蘭「…いくら大将でもよ、やっぱ俺にも妹っていう譲れねぇもんがあったんだわ。




けど、なんやかんや……大将に憧れてきたからな。


…せめて安らかに眠れよ。」









開いていた目を閉じさせていて、悲しそうな顔をする蘭お兄ちゃんを私はただぼやける視界で見ていた。







蘭「…お前は?」




『…、?』




蘭「怪我。…何もねぇ?平気か?」








優しい声で蘭お兄ちゃんはそう言った。




心配そうに見つめていて、夢かな…?と疑うくらい私は目を見開く。






なんで、怒ってないの…?







蘭「左手だけか……なんも出来なくて悪かったな。お前も早く逃げろよ。」







優しく私の左手を右手で包み込み、左手で涙を拭ってくれた。








『…蘭…兄ちゃん、は?』





蘭「ここに残る」





『な……んで…』







そんな会話が今の私に精一杯すぎる言葉だ。








自分のせいでイザナさんは死んでしまった。





それなのに蘭お兄ちゃんは怒っていない。









責められるはずの人間が、誰もその事に触れなかった。








…なんで、?






私のせいなのに…






万「A…行くぞ、」




『……ゃ…だ』








今ここで行ってしまったら、二度と会えなくなる、後悔する。






そんなの、絶対に嫌だっ…






お兄ちゃんたちが自首する必要なんかないっ…






私がっ…






私がっ…何とかしなきゃ…







万「…A、」






動かない私を佐野くんは腕を掴む。







『っ!離して!!』




万「っ…」







でも、今の自分の気に障り思いっきり手を振り払ってしまった。






『っ…ごめん、な…さい……ごめっ……さ、のくん…ヒクッ』









慌てて謝ったけど、佐野くんは傷ついたような表情をしている。








あぁ…私はどれだけ、人を傷つければいいんだろう。




自分が憎くて仕方ない。







竜「A…」








でもなんで…?









…なんで、私たちはあなた達と一緒にいることを許してくれないの?

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モチモチ(プロフ) - シオンさん» お楽しみに〜って感じですね! (2022年7月16日 21時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - モチモチさん» 絶対出番ありでしょう〜〜(*゚∀゚*)そこで飛び蹴り〜〜 (2022年7月15日 17時) (レス) @page48 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチ(プロフ) - マイキー出番あり……かも???笑 (2022年7月12日 19時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - マイキーはよ〜〜助けてやって〜〜 (2022年7月11日 22時) (レス) @page45 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチ(プロフ) - 沙耶さん» ハッピーエンドになります!させます!!笑 はい、ありがとうございますっ☆ (2022年7月11日 22時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モチモチ | 作成日時:2022年5月21日 21時

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