心に残っているもの ページ4
その街は主に荼毘の炎で一瞬にして焼け野原となった。
街の真ん中にぽつんと1人で立っている私には、何も出来なかった。
……だから、ヒーローになんて向いていないの。
「助けてっ…」
ふと、そんな助けを求める声が聞こえる。
ハッとなってその声の主を探せば、家の瓦礫の下敷きになっている小さな女の子。頭から血を流して、やっとのことで手を差し伸べているがその手も僅かに震えている。
『っ！！』
こんなになっても、見過ごす訳にはいかなかった。
気づけば体が考えより先に動いていた。
『今助けるからっ…！』
助けられる命を、
瓦礫を浮かして退かし、女の子の怪我を急いで治す。
折れていた足も、流れていた血も…
丁寧に治癒を施した。
汚れていた服も払い除けて、私は女の子に言った。
『…危険だからここからすぐに離れて。あっちへずっと真っ直ぐ進んでいけば交番がある。そこで警察の人助けを求めて。敵連合が出たんだって』
「お姉ちゃんは…？お姉ちゃんも一緒…？」
『…お姉ちゃんは、一緒に行けない。大丈夫、今なら絶対にバレないから早く行って。
誰にも見つかることなく逃げ切れたらあなたの勝ち』
不安そうに私を見つめる女の子に『絶対また会える』
そんな嘘を付いて送り出した。
あんなにスラスラ言葉が出たのはどうしてだろう。
いつもなら、初対面の人には噛んだり言葉が出てこなかったりするのに…
ずっと話してなかったからかな…？
それとも、お面を付けて顔を隠してたから…？
不思議だ。
目線を合わせていた低い体制から立ち上がろうとすると後ろから名前が呼ばれる。
ヒ「かなうちゃ〜ん！ここ切っちゃいました！」
そう言って頬を突き出すトガヒミコ。
「治して」それが彼女の言い分だ。
『【治癒】……』
ヒ「“傷は浅かったので痕は残ってません”ですね！ありがとうございます！」
『……』
…だからなんで言ってないのに分かるんですか。
凄いを通り越して逆に怖い。
…トガヒミコが来なかったら他の市民を助けられたかもしれないのに、今はもうそれが許されない。
悔しくて、下唇をグッと噛み締めた。
もう少しだ…
もう少し、耐えろ私…
似「………」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 606人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モチモチ(プロフ) - ああめさん» 書いてていつもそう思います…。けど辞められなくて😭 温かいお言葉ありがとうございます…！ (2月21日 23時) (
レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
ああめ - とっても面白かったですし、読みやすくて、すぐに読み終えてしまいました！原作に夢主を混ぜ込むのはとっても難しいと思いますが、更新ゆっくり頑張ってください！✨ (2月18日 14時) (レス) @page43 id: b64360ae0d (このIDを非表示/違反報告)
モチモチ(プロフ) - りささん» えー！嬉しいです頑張ります(><) (10月20日 0時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 一気読みしました！更新楽しみにしています！🤍 (10月16日 0時) (レス) @page27 id: abbef9466e (このIDを非表示/違反報告)
モチモチ(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます😭なかなか更新できないんですけど頑張りますね…！ (9月15日 21時) (レス) id: 832328d0a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モチモチ | 作成日時：2023年1月24日 9時
