言葉で紡いだ未来【MHA】 (ページ40)

今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:178,474 hit

負けた悔しさページ40

でも、現実は突きつけられた。

香「爆豪くん、場外！！決勝進出は言吹Aさん！」

うぉーっと会場全体は盛り上がる。

『……立てる、？』

試合中とは人が変わったように、言吹は今度は心配そうに俺に手を差し伸べた。

爆「……ざけんじゃ、ねェぞ……」

『え？』

爆「ふざけんじゃねェー！！！」

俺は言吹にそう怒鳴りつけた。
肩を揺らし、眉を下げた言吹はただ俺を見つめるだけ。

爆「ざけんじゃ、ねェぞ……」

でも、俺はその言葉しか出なかった。

優勝宣言して置いて、自身を追い込んだのに、それでもこいつには勝てなかった。

俺はまだ、こいつに勝ててねぇ。

第1種目の借り物競走も、最後の最後で抜かれ。

第2種目の騎馬戦だって、こいつが居なきゃ勝てなかったかもしれねぇ。

完敗は認めたくない。

だからこそ、悔しい。

『(…最後、ムキになって個性を使えなくしちゃった…)……私、今よりももっともっと強くなるの。…でも、爆豪さんも強くなるでしょ？

次“も”負けないから、お互い頑張ろう、ね？』

決して上から見下しているわけではない言葉。

だけど、俺にはグサッと刺さってしまった。

そしてまた、らしくもなくこう思ってしまう。

“あぁ、こいつには一生勝てねぇ”って。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

麗「Aちゃん！」

『…あ、お茶子ちゃん！』

控え室に戻ると、ドアの前にお茶子ちゃんが立っていた。

麗「試合、勝っちゃうなんて凄い！決勝進出おめでとう！」

わざわざそれだけを言うために待ってくれてたらしく、私は嬉しくなる。

『私、お茶子ちゃんの試合見てて凄くかっこよく見えたんだ〜。だから、お茶子ちゃんの分まで勝ちたいって思ったの！』

麗「Aちゃん…

決勝、轟くんとだけど頑張ってね！上からめっちゃ応援する！！」

ふんっ！！と鼻息を鳴らし気合い充分なお茶子ちゃんが面白くてつい顔を綻ばせる。

『絶対に勝つよ。だって、おじいちゃんと約束したもん！』

“『おじいちゃん！ぜーったい、1位になって帰ってくるね！！』”

私は今朝言った言葉を思い出しながら、お茶子ちゃんと分かれ控え室へと入っていった。