・ ページ9
．
「……」
『…えーっと、お久しぶりです…
神代先輩…』
佐ノ木A、絶賛気まずいです
まさか玄関で鉢合わせるとは思わないじゃん
私は思ってなかったよ
そりゃまぁ鉢合わせるよ、でもさ？
こんな閑散とした玄関で会うことある？？
空も泣き出したよ(訳：雨が降り出した)
『いやー…はは、雨降ってきましたね』
「ああ、そうだね。随分土砂降りのようだ」
彰人部活のヘルプで呼ばれてたけど大丈夫なのかな
というかさっきまで晴れてたのにいきなり降りすぎでしょ
私の気持ちを代弁してくれてるよね
ありがとう本当に(ヤケクソ)
というか私傘持ってきてなくない？？
「……」
神代先輩の手元には傘
ちゃんとニュース見てきたのかな、えらすぎる
私朝弱い人だから毎度バタバタしてニュース見るどころじゃないんだよね
『…じゃあ、私はこれで……』
制服の上に着ていた上着のフードを被って軽くお辞儀だけする
この間と同じセリフとかレパートリー少ないヤツじゃん
でもこんな気まずい雰囲気、神代先輩だって嫌だろうし
彼の気持ちを汲むならきっと最善策だよね
足を一歩踏み出して、いざ！と走ろうとしたら後ろから腕を掴まれる
この状況、腕を掴む人なんて一人しかいなくて
『えっ』
「こんな雨の中走って帰ろうなんて思ってないだろうね」
『…傘持ってないので』
「そんなことして風邪をひいたら元も子もないだろう？」
真っ直ぐに見詰められて、
その視線から逃れたくて目を逸らしてしまう
先輩からしたらいきなり告白してきた奇妙な後輩なはずなのに(大正解)、なんで引き止めるんだろう
私が彼の立場なら、背中を見送ってたよ
心情の全く掴めない表情に戸惑ってしまう
止められたことに少しだけ期待してしまう
もしかして両想いなのかなって
「偶然にも、僕の持っている傘は結構大きくてね。君と僕が一緒に入りながら帰ることが出来るんだ」
『で、でも…それだと先輩に迷惑が、』
「もう既に掛けられているんだ。今更どうってことないよ」
『……すみません、』
「怒っていないから気にしなくていいさ。ほら、早く着いてきてくれ。濡れてしまうよ」
傘をバサッと開いて雨の中を進んで行ってしまう先輩
せっかくの好意を無駄になんて出来なかった
相合傘、と喜ぶ心を隠して先輩の隣を歩く
流れる空気感はどうにも苦しかったけど、
幸せさも感じて複雑な気分だ
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ステッキ(プロフ) - みそさん» 類くんオチにしつつ神高男子をメインにしたいなぁ…という😌神小説だなんて大層な…！！ありがとうございます😭🙏🏻モチベになります💪🏻 (2月12日 23時) (
レス) id: c7ba044402 (このIDを非表示/違反報告)
みそ - 類メインかと思ってたけど彰人が結構でてきてもうなんか、、ちゅきーーー！！こんな神小説を作って下さりありがとうございます！ (2月12日 19時) (レス) @page17 id: 10491548f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ステッキ | 作成日時：2024年1月24日 19時
