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五十九皿目 ページ10

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「面倒って?」



『零席として一番高い値段で模擬店出したのはいいが、値段の割に思ったより客が来てしまってな。後で同じ山の手エリアだった十傑の数人にクレーム言われたんだ。
そっちに客が流れて俺たちの方に来ないってな。』



「それは…そうでしょうね…」



『だからといって零席が山の手以外で出店する訳にもいかないし、参加しないという選択肢も無い。
だから翌年には出店はやめたんだ。』



「え!?やめたんすか!?」



『出店はな。私がいるせいで客が来ないと言うなら私のおかげで客を呼んでやろうと思って告知したんだ。
山の手エリアで使った合計金額が多い上位10名に零席が料理を振る舞うとな。山の手エリアは金持ちしか来ないから特定しやすいしな。』



「いや、そのせいでだいぶ騒ぎ起きてましたよね…」



『客同士の揉め事なんて私にはどうでもいい。
最終的に振る舞う人間が分かればいいからな。』



「あの、その先輩の料理を食べるために学園祭で
数千万使った人がいるって聞いたんですけど…
流石にそれはただの噂です、よね…?」



『ああ、それは事実だ。まあ彼なら君の料理が食べれるなら安いと笑っていたぞ。』




そういや彼は今頃私のことを血眼になって探してるだろうな、滑稽だな。とぼそ、と爆弾発言をしている。




「……これで分かったな幸平?そんな出来事もあって先輩の料理は幻とまで言われていたんだ。そんな彼女の料理が食べられるという事実をしっかり理解しておくべきだ。」



「そ、そんなに凄い人だったのか…」



『は?お前知らなかったのか?…大口を叩けるわけだ。
…何震えてるんだ君たちは?』



「え、だってそんな話聞いたら…な、なぁ?」



「ほんとに10万って安かったんだなぁ…」



「お、お金はいくら払えばいいですか!?
私のお小遣いで足りますか…っ!?」



『いや、材料費も全て私が出すから払わなくていい。
気にするな。』




泣きながら田所さんが質問するが、気にするなと彼女は断っていた。



詫びだと言っていたが、そんな話を聞けば混乱するのも分かる。




『さて、これだけ人数もいるし現地集合にしようか。
住所はこのメモに書いてあるから。』



「おう、分かった。じゃあ後でな。」



『ああ。』



「蘭とガキンチョはあたしンちの車で行くわよ!
あ、貴方たちも一緒に乗る?」



「いいんすか?あざっす!」



「あ、ありがとうございます!」






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作者名:瑠璃 | 作成日時:2022年2月28日 21時

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