五十八皿目 ページ9
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タクミくんの圧に気圧される。
「君は彼女の料理が食べられることがどれだけ奇跡なことなのか分かってるのか!?」
「いやんなこと言われても…」
「……遠月月響祭。つまり学園祭で当時3年で既に第零席だった彼女はフレンチのフルコースと、他単品料理で模擬店を出したんだ。」
「(…学園祭の模擬店でフルコースってなんだそりゃ?後で聞くか。)おう?」
「彼女はそのフルコースにいくらの値段設定を
したと思う?」
「………、ご、五千円?」
フルコースでは最低でも万するが、そこらの分野にはまだ疎いだろう彼はそれ以下の値段を答えた。
そんな彼にタクミくんは指を一本立てる。
「あ、一万円?」
「違う」
「……もしかして10万か?」
「違う」
「は?じゃあその指は何だよ。
ヒントじゃねえのか?」
「100万だ」
彼の言葉に空気がピシッ、と固まる。
なんだって?
「彼女はフルコース一つに100万の値段設定をしたんだ。」
「……は?それじゃ客来ねぇだろ。」
「普通はそうでしょう。けれど彼女は異例の第零席。彼女の料理を食べるためなら大金を払う客は幾らでもいる。予約制の席は初日から最終日まで全て満席。たった数日で彼女は億単位のお金を稼いだんです。」
松田の言葉にそのまま説明をする。
内容が異次元過ぎて追いつかない。たった数日で億?
しかもそんな莫大な値段なのに客がそんなにも来るだなんて。
『何話してるんだ?』
スマホをずっと操作していた彼女はやっと
話題の中に入ってきた。
『鈴木、金は後で払うからここに書いてある材料を
お前の家の伝で用意できるか?』
「え、、!あ、いいけど…っ」
『?何話してたんだ?』
「先輩が2年次の時の月響祭でのことを話してたんです。」
『……あれか。あの時は面倒だったな。』
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作者名:瑠璃 | 作成日時:2022年2月28日 21時