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五十六皿目 ページ7

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『まったく、私の料理が食べれるのにそんな文句を言うのはお前くらいだ。食戟は第一席に勝てたらやってやるよ。』



「!…その言葉はほんとにほんとっすよね?」



『流石にな。ま、今のお前じゃ何年かかるか分かったもんじゃないがな。』



「はぁぁ!?今に見てろよ絶対勝つからな!!」



『はいはい。それで料理のことだが、ここで作る訳にもいかないから何処かに移動しなければならない。』



「(あっさり流しやがったこの人…!!)
…極星寮はどうすか?」



『なんで遠月に私が行かなきゃならないんだよ馬鹿。
私の家でも文句無いか?』



「先輩の家?いいっすけどなんか手土産持ってった
方がいいんすかね。」



『何でだ?』



「え?だってプロの料理しか食べた事ないって事は
結構凄い家だろうし、手ぶらじゃ駄目でしょ。」




結構どころか警視副総監が住んでいる家だぞ。
ヒロを見てみろ。


知ってるから顔を引き攣らせてるんだからな。




『ああ、それなら問題無い。家は私が今住んでいる一人暮らしのところだからな。』



「えっっ!!?」



『?なんだ。設備は一応整ってるぞ。
料理での騒音も防音だから気にしなくていいし。』




いやいやそういう事じゃないだろう!!!



なんで女一人で住んでいる家に同年代の男を招こうとしてるんだ!?しかも2人で!!


というか報告書では君の住所は副総監と同じ場所なんだが!?なんで一人暮らしなんだ君は!!




「いやっいやいや!…えっ!?駄目だろそんなとこに
俺が行ったら!!」



『は?家主の私が許可してるのに、他に誰の許しが要ると言うんだ?』



「いや、だって…そりゃあ…」




ちらちらと僕を見てくる幸平くんに彼女は首を傾げた。




『何故彼を見る?』



「え?いやいるでしょこっちの許可。」



『無関係な人間の許可が必要か?』





すっ、と冷めた目をした彼女の言葉に、心臓を鷲掴みにされたような感覚がした。



夢見心地から一気に現実へと突き落とされたようなそんな感覚が。



彼女にとっては何の関係も無い人間なのか僕は。



付き合っているわけでも好きだと言われたこともない。


けれど少なからず好意を寄せられていたと思っていたんだ。




彼女は何も悪くないのに、裏切られたような気分だった。




潜入捜査で磨いた演技力をフル活用して平然とした顔
を作る。奥歯を強く噛み締めた。





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作者名:瑠璃 | 作成日時:2022年2月28日 21時

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