九十九皿目 ページ50
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その後伊達が犯人を逮捕し、事件は幕を下ろした。目暮警部たちが犯人を車に乗せ連行する。
伊達は今日奥さんと来ているしな。
伊達が奥さんを連れてこちらにやって来る。
「安室、A。紹介するぜ。妻のナタリーだ。」
「初めまして、伊達ナタリーです。夫がいつもお世話になってます。」
「探偵の安室透です。こちらこそ、旦那さんには喫茶店の常連さんになってもらってますから。」
「ちゃんと金落としてるしな。」
「もう、ワタルったら。」
冗談を言い、仲良く会話する2人に気持ちがほっこりする。
『……櫻坂A。』
「あなたがAさんね。ワタルから話は聞いているわ。いつもワタルと仲良くしてくれてありがとう。
良かったら、これからも仲良くしてあげてくださいね。」
優しげに微笑む彼女に、Aもこくんと頷いた。
「そろそろ遠出が出来なくなるから、今日は久しぶりに出かけようってここに来たんだよ。まさかお前らも居るとは思わなかったけどな。」
「遠出ができなくなる?」
「身体に気をつけなくちゃならない時期だからな。悪阻も収まってきたから、少しくらいなら大丈夫だって2人で話したんだよ。」
「貴方が心配性なのよ。大丈夫だって言ってるのに。」
「心配になるのも仕方ないだろ?一人目なんだから。」
……遠出ができなくなる、悪阻、一人目…
「え、妊娠?」
「ええ、4ヶ月になるんです。」
思わず出た言葉にナタリーさんが答える。
さっ、と一瞬お腹の辺りを見ると細身な身体に対して僅かだが膨らんでいた。
4ヶ月か…それなら個人差はあるが、悪阻も収まって食欲が湧いてくる時期か。
「それは…おめでとうございます。」
「ふふ、ありがとうございます。」
「お前らには言っときたくてよ。街で見かけたら頼むぜ。」
「なるほどそのためですか。」
「そういうことにしといてくれ。」
本当はただ報告したかっただけなのだろう。
そう話す伊達は幸せいっぱいの顔だった。
……これは、すぐにでも組織を壊滅させて降谷零としてお祝いしないとな。
彼らの子どもが生まれる前までに頑張ろうか。
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作者名:瑠璃 | 作成日時:2022年2月28日 21時