九十八皿目 ページ49
.
「…落ち着いたか?そろそろ安室にも話を聞きたいんだが。」
「A、もう大丈夫ですか?」
『ん。』
「悪ぃな。Aと同じ席にいたから内容は同じだろうが、何か気付いたことがあれば教えてほしいんだ。」
事情聴取のためにその場を離れようとすればつん、と何かに手を引っ張られる。
Aが僕の手を握ったままだった。
彼女はきゅ、と口元を結び僕の手を悲しそうに離す。
……こんな子を残して行かなきゃいけないのか僕は??そもそも今頃はAと楽しくカフェでお喋りしていたはずなのに。
「A、すぐに帰ってきますから。それまで蘭さんと居られますか?」
『…うん』
元気の無いAを残して伊達と、事情聴取というより犯人について、誰かに聞かれないよう小声で話す。
「じゃあ、怪しいのは被害者の隣の席に座っていたあの男だな?」
「ああ、ほぼ間違いないだろう。それにお前も既に分かっていたんじゃないのか?」
「確信が無かったけどな。トリックもだいたい分かった。後は証拠だが…」
「証拠か…あの男の話を詳しく聞かせてくれ。」
「ああ…」
犯人はあの男で間違いない。
だが、証拠が掴めないな。横目でコナンくんの様子を伺うと彼もそこで悩んでいるようだ。
……待てよ?そういえばあの男は事件が起きた時…、!
…なるほどな。
「分かったぞ証拠が。」
「!本当かゼロ?」
「ああ。今から話すから後は頼んだ。僕は本来目立つ訳にはいかないからな。」
「おう、任せとけ。てか元々俺らの仕事だしな。」
「お前は今日非番だけどな。奥さんと来たのに気の毒だな…後でちゃんとアフターケアしとけよ。」
「あたりめぇだ。今は特にな。そうだ、後でお前とAにナタリーのこと紹介したいんだがいいか?」
「それは構わないぞ。僕だけならともかく、
Aとはお前も親しいから不自然じゃないだろう。」
それに安室透だとしても、友人の妻を紹介されるのは嬉しい。
降谷零としていられるようになったら、また改めて紹介してくれよ。
.
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瑠璃 | 作成日時:2022年2月28日 21時