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七十皿目 ページ21

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気付けば立ち上がり怒鳴り声をあげていた。



テーブルのコーヒーがゆらゆらと波を作っている。
はっ、として椅子に座り直す。



やめろ、ともう一度言った。


今度はか細い声しか出なかった。




「彼女は…Aはそんなことしない。彼女は料理の天才だ。だから料理に関して並外れた能力を発揮しているが、他は普通の高校生となんら変わらない…
ただの女の子なんだ。」



「そう思いたいだけだろ?」



「っ…!」



「ゼロも今日感じ取ったはずだ。彼女の鋭い殺気を。別人とも言えるような冷酷な表情をした彼女の姿も。
そして俺たちが知っている彼女の情報の中に偽造が含まれていることも知った。
いや、もしかしたら調べた殆どが捏造されたものかもしれない。」




ぎゅ、と固く握った拳に力が入る。




「普通の子どもが、そんなこと出来ると思うのか?」



「理由が、あるかもしれない。彼女は料理業界から追われている。身を隠す必要があったんだろう。そのために住所だって偽造することが必要だった。」



「だったらそれは誰がやった?彼女の父親がそれをしたとしてもその証拠が残るはずだ。なのに足が着いた形跡も無い。捏造した証拠もな。なのに不自然に消された違和感がある。俺たち公安が調べても彼女の幼少期から現在に至るまでの経歴が表面上のものしか分からない。
まるで腕のあるハッカーが手を加えたようにな。」



「彼女がそのハッカーだとでもいうのか?」



「いや、その可能性は低いだろうが…彼女の仲間に
そんな存在がいる可能性もあるって事だ。」



「……」



「それに…」



「…なんだ」




有り得ない。と表情が物語っているが、催促すると
ヒロは話し出した。




到底無視できないことを。







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作者名:瑠璃 | 作成日時:2022年2月28日 21時

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