六十四皿目 ページ15
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「…さぁ？僕は彼女の料理は和食しか食べた事ないので。」
「けどめちゃくちゃ美味かったんだろ？」
「それはもう。まあ、あの遠月でトップだったという話を聞けば納得しましたね。」
「つーか、あの子血眼になって財閥とか料理業界の人間に探されてるんだろ？大丈夫かな。」
……そうか。彼女は遠月の関係者に追われている立場だ。だから書類を偽造したのか？
それなら説明がつく。…けれど誰が？普通に考えれば彼女の父親である副総監だろう。
けれどあの人に違法作業の権限はない。
それにそんなことをすれば直ぐに足がつくだろう。
なのに経歴を弄った形跡はなかった。
それがまた僕たちにとっては不自然だったが。
それとも、凄腕のハッカーがいるのか？
「…おい安室。大丈夫か？」
「っ、え？」
「さっきからぼーっとしてない？」
「え、ええ大丈夫ですよ。最近仕事続きで。」
「へぇ、探偵って忙しいんだね！」
このクソ野郎。そっちの仕事じゃないの分かってくるくせに。
周りに人がいなければアイアンクローかましたぞ。だから今言ったんだろうが。
にっっこり萩原に笑えば引き攣った笑みが返ってきた。失礼な奴だな。
暫くして、彼女の料理がテーブルに並べられた。
案外早かったから少し作ったくらいだと思ったが十品の料理が置かれている。
あの時間でこんなにも料理を作るとは…
牛フィレ肉のグリル、フォアグラのポワレ、梨の生ハム巻き、カリフラワーのフレンチサラダ、ラタトゥイユ、キッシュロレーヌ、パテドカンパーニュ、シュヴルイユのロースト、鮭のポワレ、白身魚のソテー。
そして幸平くんにはブッフ・ブルギニョンとテリーヌが席の前に置かれた。
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作者名：瑠璃 | 作成日時：2022年2月28日 21時
